金魚cafe

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昨日がなければ明日もない

2021-05-13 14:06:31 | 読んだ本
宮部みゆき著 文春文庫。


長いことお留守にしておりました。


今のご時世と仕事の事情で遠出もできずインドア生活を続けております。

桜もわが地元3月に急に暖かくなり一週間早くピークが来てしまい、4月はうってかわって朝など暖房が必要な冷えこみで近所の桜さえ見るのがおっくうになるほどでした。

そうなるとすることは読書とか録画消化になります。

読みたかったシリーズが文庫本になったのでさっそく買ってきて読みました。

文庫本の帯に「私立探偵杉村VS゙ちょっと困った女たち"」とありました。

前のシリーズでも杉村さんの周りには困った人ばかり集まるのにあえて困った女たちとは。

中編三作からなっており最初の中編「絶対零度」は読んだ後のジャリジャリと砂を噛んだような後味の悪さが残りました。


読んだときの背景が何年か前に某大学のスポーツクラブのことでクラブの先輩後輩の関係が良いところもあるけれど社会人なってもそれが続きクラブに口出ししてきていかがなものかというのがテレビで取り上げられていたのを思い出しました。

連載されていたのもその頃ではなかったのではないかと頭に浮かびました。

二編めの「華燭」はちょっとユーモアをちりばめてありました。

最後の本の題名となった「昨日がなければ明日もない」は最初の「絶対零度」より強烈で「困った女」レベルではなかったけどなぁというのが感想でした。

探偵の杉村さんは真っ当で優しすぎるぐらい優しい人で彼の周りには前職の行きつけのお店のマスターが杉村さんの近くでまた喫茶店を開いたりするぐらい慕われ彼の借家の大家さんも好い人でそういう人が集まってきますが、何故か近寄りたくない方々も引き寄せるなあと。

それは近寄りたくないない方々が杉村さんは嫌と言えない人だと本能的に見抜いて何とかしてもらおうとしているのではないかとこのシリーズを読むと思うのです。

また読んだ後にジャリジャリした後味は残っても続編が出たら読みたいと思います。







笑えシャイロック

2020-10-13 14:40:13 | 読んだ本
中山七里著 角川書店。

ドラマの半沢直樹が終わったばかりですが題名を見て面白そうと図書館で借りてきました。

中山七里先生と言えば刑事物のミステリーが多く失敗をしない渡瀬さんや女性の嘘を見抜けない犬養さんなどですが銀行関係の殺人事件で謎を追うの銀行員の結城。

彼の師匠とも言うべき先輩の山賀。彼らは銀行が貸し付けたお金を回収する渉外部で働いていました。

先輩の山賀は職場のエースと呼ばれる存在。
それだけ回収の仕方がないえげつなかったわけで容疑者は数えきれません。

結城は山賀を最初は金のためなら何でもするのかと一緒に仕事をするのはちょっと嫌だったのかもしれませんでした。

山賀には自分なりにまっとうに回収するというポリシーがありそこは尊敬するようになったばかりの時に山賀が殺されてしまいました。

山賀が残した債権回収を引き継いだ結城は債権を回収しながら真実に近づけるのか?


半沢さんだとドラマを見ていてお金の流れが私には複雑過ぎてそこはスルーでスカッとするところだけを楽しんでいたような。

小説では債権者がどういう理由でお金を借りなぜ返せなくなったのかが分かりやすかったのでサクサク読めました。

殺人事件なので警察も登場します。諏訪と刑事がなかなか切れ者で渡瀬さんといい勝負してるかもと思いました。

お金というものに振り回されると大変なことになるなとなるべくならお金は借りたくないなと思うような小説でした。

中山七里先生なのですんなりと事件が解決しないところが面白いと思いました。

リンドグレーンの1939~1945戦争日記

2020-09-01 15:10:11 | 読んだ本
アスリッド・リンドグレーン著
石井登志子訳
岩波書店



夏休みの読書感想文を書くのに相応しいような題名。

アスリッド・リンドグレーンといえば「長靴下のピッピ」を読んだだけでした。

第2次世界大戦が始まる前、1939年にドイツがポーランドに侵攻した日から1945年の終戦まで戦争に関することの自分の思いや新聞の切りぬきを貼ったり家族の日常や2人の子供の母であったリンドグレーンは子供たちのために買い物をしたもの、日用品、食料の値段などを細かく記録していました。

まだ小説を世に出す前で彼女は国が設置した郵便の中身を検閲するパートタイムの仕事をしていました。

夫も働いていたのと両親からの食料の援助もあったりで日本の戦時中のことを考えればとても豊かだったと思えます。

中立国だったスウェーデンは戦争の被害はなかったけれどドイツやロシアとの緊張感はあったようでノルウェーやフィンランドともそんなに仲が良さそうではない感じが日記から感じてしまいました。

中立国だから大丈夫だったのかヒトラーやムッソリーニについて辛辣に書かれていたし家族間でも話をされていた様子でした。

これが戦時中の日本なら非国民と呼ばれて非難されるだろうなと思いました。

ここまで突っ込んで日記に書けたりするというのは切りぬきの新聞記事もきちんと報道されていたからだろうと思いました。

そんな深刻な話ばかりではなく家族でピクニックに行った。夏は別荘に避暑に出かけた。冬はスキーに行ったと日常を楽しめているのにバターは買い置きしなくていいだろうかコーヒーも配給になるだろうし砂糖も確保しなくちゃと。

戦時中とは思えない豊かさが書かれていました。

「長靴下のピッピ」は戦時中に娘さんに聞かせていた話を小説にしたもので日記を書きつつ片方でこんな小説を書いていたなんてとリンドグレーンという人の知らなかったことがわかるとまたピッピや名探偵カッレくん、やかまし村の子供たちを読みたくなりました。



会社を綴る人

2019-07-17 16:00:36 | 読んだ本
自分の用事などでバタバタしてずっとお留守の状態でした。

日にちが合わない~~!!と言いつつもなんとか「いぶき」と「磐音」は観に行って来ました。

そうそう、選挙なので地元の役所や公的な掲示をされる場所に蔵之介さんのポスターを探しに行きましたが我が地元ポスター貼っていなかったのです。(T_T)

え~~っ、何故~~??と町内の公民館とかも観に行って来ましたが字だけのポスターだけでした。

そんなことしながらも読書はできるのだなあと。

朱野帰子著 双葉社

「私定時で帰ります」のドラマ面白かったです。

原作を雑誌で連載中に読んでいたのですがラストが読めずでドラマの通りだったのかはわかりませんが朱野センセーの「真実への盗聴」という作品を読んで仕事をする人たちのリアルさが書かれていて「そうそう」と思うことがありました。

定時で帰りますでは自分の仕事だけ終われば良いとはいえない雰囲気とかいろんな悩みとか。

「仕事を綴る人」では正社員になれず派遣社員で過ごしてした30歳の紙谷さん、有名人の両親と出来すぎる兄がいるお家で自分に自信がない、よく言えばおっとり、悪く言えば頼りない、人と話すより文を書くことで気持ちを伝えられる。

そんな彼が兄の紹介で中堅の製粉会社の総務に就職しますが電話も取れずで毎日落ち込むことばかり。

そんな彼が得意の文章で会社の問題を改善しようとする。

その文章さえも今のご時世文章を読む人が少なくてなかなか上手くいきません。

1話完結めでたしめでたしのドラマのように上手くいかないところがリアルだなあと思ったのです。

私も仕事で次の人に申し送りをするときに口頭だけで「はいわかった。」という同僚と「ちゃんと書面にしていおいてほしい」という同僚いろいろです。

私の周りではちゃんと書面にして残している人は仕事できる人が多いかなと思います。

景気が良かった時代は紙もどんどん使えと文書は貯まって行き、それを収納するためのハコモノをどんどん建てていたような気がします。

今は紙代も節約置く場所もなくそうとデジタル化していきます。

便利なようでその落とし穴も描かれていました。

自分が仕事をする上ですごくためになったところもあり紙谷さん優しすぎでしょうとやきもきするところも本当に日常をリアルに描かれて面白かったです。

これを読むと人間もだけれど会社もいろんな顔を持っているのだなと改めて思いました。








平凡な革命家の食卓

2019-03-22 15:21:11 | 読んだ本
樋口有介著 祥伝社

久々に書くのが読んだ本。

年に1冊ぐらいのペースで出される樋口センセー。

最近の樋口センセーは15~17才の主人公で彼らがどう生きていくかそれが世間では正しいと言うのは難しいけれど自分たちらしく生きていけるのであれば良いのかなって感じでした。

今回は主人公は所轄署の刑事でいつかは警視庁の捜査一課をとそのために成績あげなくちゃと駆け回る卯月枝衣子(えいこ)。

しかし、配属された所轄は東京の国分寺。

西に住んでる私はどういうところかはわからないのですが読んでいると静かなところで犯罪と呼べるものは月に1回あるかないか、殺人事件なんて年に1度あるかないか。


私なら喜んでしまいそうですがやはり上を目指すためには事件を解決し成績を積み重ねていかねばと。

そんな枝衣子さんに地元の市会議員が家で亡くなっていたと一報が入ります。

駆けつけると家は荒らされておらず、遺体も苦痛にみちた症状もなく年齢も考えると自然死で片付けられるところを枝衣子さん何も無さすぎて怪しいと事件にしちゃいました。

彼女に巻き込まれるのが隣のアパートの住人の水沢凉という元広告代理店の社員で今は演劇スクールの講師?というお気楽な男性。

頭も切れて見た目もそこそこ、性格も良いところのお坊っちゃんでモテそうなのに残念というキャラ。

樋口センセーお得意の方や上を目指すキャリア志向とお気楽コンビで事件?解決なのか?

そして樋口センセーの小説で好きなのが出てくる料理がすごく美味しそうで枝衣子さんが忙しいのにマメに自炊
する人で出される料理とお酒が夜に読むとお腹がすいてきます。

話がテンポよくて樋口センセーの探偵で柚木草平さんのお知り合いも出てきたりでこれはシリーズ化してほしいなと思いました。