国道122号沿いの音楽喫茶 『ドルフィン』

さぁ、音楽を聴け!
コーヒーは自分で沸かして用意して…
そんな仮想の音楽喫茶

青白き炎はただ静かに燃えて

2009年05月25日 | マスターの独り言(アルバムのこと)
ジャズの話をする時、
「黒っぽい」という表現が出てくる。
ジャズの発祥が黒人音楽であるということから、
独特の粘りのある響きをそんな風に言う。
僕も最初は分からなかったのだが、
聴いているとやはりブルーノートなどは「黒っぽい」という響きがある。

「黒」の反対は、「白」である。
白人もジャズに魅せられた。
マイルスは自叙伝で、
「白人の奴らは、俺達のやったことを真似をして、それで売れていく」
と、悔しがっている。
「黒」だ、「白」だと時代錯誤の話ではあるが、
やはりそれはジャズの根底に流れているものでもある。
けっして人種差別的な意味ではないのであしからず。

今日は白人のアルトサックス奏者
リー・コニッツの『ジャズ・アット・ストーリーヴィル』である。
まず聴いてみると分かるが、
コニッツのサックスの響きは軽やかで、
すっと肌触りのよさそうな音を出している。
ブルーノートにあるような粘りのある、どっしりとした感じではなく、
さわやかでありながら、しっとりと、
でも、しっかりと聴かせる力をコニッツは持っている。

ポイントはジャズの特徴でもある即興演奏である。
コニッツはアドリブで
原曲を徹底的に崩し、新しいメロディーを再構築していく。
盛り上がりもあるのだが、
ほとんどが調子を抑えながら、静かに吹く。
徹底した即興演奏と静かな雰囲気が、
どことなく難しく、イメージとしても硬い感じを思わせる。
だが、「ジーズ・フーリッシュ・シングス」で
絶妙な間を取りながら、じっくりと吹き鳴らすコニッツを聴いていると
時間がゆっくりと切り取られていくかのような印象を受ける。

人種というのはジャズにおいてやはり関係はあるのだろう。
だが、即興演奏にかけるコニッツの意気込みは、
他のジャズメンと変わることはないのだ。