国道122号沿いの音楽喫茶 『ドルフィン』

さぁ、音楽を聴け!
コーヒーは自分で沸かして用意して…
そんな仮想の音楽喫茶

3人の会話は永久に美しく

2009年05月12日 | マスターの独り言(アルバムのこと)
ビル・エヴァンス、スコット・ラファロ、ポール・モチアンの
3人が作りだした魅惑のハーモニー。
ジャズを聴いていれば、
そのアルバムに必ず出会う日があるだろう。

今日のアルバムは、リバーサイド4部作の2作目
『エクスプロレイションズ』である。
最初の曲「イスラエル」から、
美しく心打ち振るわされるメロディーと出会えるだろう。
激しく切り出すエヴァンスのピアノの音を聴けば、
よく表現される情緒的でリリカルなだけでなく、
力強さと緊張感漂う美しさを内在させていることが分かるだろう。

そこにポール・モチアンの軽やかで細やかなドラム。
全体を引き締めているのがモチアンである。
シンバルの音が優しくピアノに寄り添い、
時にリズミカルに、時にじっくりと間を生かすように…
エヴァンスとラファロに目が向きがちであるが、
モチアンのドラミングがあったからこそ
このアルバムの優美な世界が成り立っているのだ。

そして攻めのラファロのベース。
ベース音はなかなか最初の内は耳に届いてこない。
届いてもベースのアドリブはどこか冗長で退屈なものである。
僕も最初、ベースのアドリブはつまらなかった。
ただジャズを聴き進めるうちにベースの重要性が分かってきた。
そうなってくると、ラファロのベースもしっかりと耳に残ってくる。
自由自在に高音と低音を行き来し、
どっしりと残るその響きは全体をスリリングなものにしている。

3人は心を通わせ合い、
まるでコーヒーカップでくるくると回るかのように
演奏のスポットに立ち、
緊張感ある耽美な世界を作っているのだ。
静かに吹き込む風に揺らぐカーテンのジャケットのように、
その美しさはやはり永遠の名盤といっても過言ではないだろう。

3人の会話はいつ果てることなく僕たちの耳にいつまでも届くのだ。