国道122号沿いの音楽喫茶 『ドルフィン』

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ホップ・ステップ・ジャンプ! 「ウコ・ポコ・ローコ」を聴くVol.3

2009年05月21日 | マスターの独り言(曲のこと)
バド・パウエルの「ウコ・ポコ・ローコ」も
いよいよ本テイクを残すのみ。

「ウコ・ポコ・ローコ」という曲は、
ブルーノートの10インチのLPとして最初に世に出ている。
その際の本テイクとして使われたのが、
1503番『ジ・アメイジング・バド・パウエル』の3曲目に収録されている。
時間にして4分43秒。
1503番の3連続「ウコ・ポコ・ローコ」の中で最も収録時間が長い。

考えてみれば、テイク1が指慣らしの練習。
テイク2がいよいよ本番に向かうための演奏。
テイク3ともなれば、OKとなることを意識した演奏であることは当然であろう。

本テイクは、テイク2とほとんど同じ形式の演奏内容になっている。
ローチの音も抑えやソロパートがあり、後テーマも演奏されている。
ただ違うのは、パウエルのノリである。
3連続で同じ曲を演奏しながら、
ソロパートでの演奏メロディーは全て異なる。
パウエルのスリリングなアドリブがそこにあるのだ!

本テイクはパウエルのソロが最もよい。
最初は少々重たい響きで入っていく。
テイク2では、軽やかな入りであったが、
テイク3ではパウエルの人柄がよく表れた入り方になっている。

演奏が進むにつれて、徐々に雲の隙間から晴れ間がのぞくように、
パウエルの右手は鬱々としながらもしだいに明るさを帯びてくる。
テイク2ではつっかえた箇所もあったが、
本テイクのパウエルの指は滑らかに鍵盤の上を踊る。
そして全体のバランスも最も安定している。

3連チャンで「ウコ・ポコ・ローコ」なる奇っ怪な曲が出てくると、
ついつい敬遠してしまう。
だが、聴き比べてみると、
3連続にも意味があるのだ。
どれも捨てテイクにならなかった
パウエルのアドリブの凄まじさを感じるには、
「ウコ・ポコ・ローコ」を聴くしかない!