国道122号沿いの音楽喫茶 『ドルフィン』

さぁ、音楽を聴け!
コーヒーは自分で沸かして用意して…
そんな仮想の音楽喫茶

ジョーヘンの柔らかく優しいテナーに心打たれる

2009年05月11日 | マスターの独り言(曲のこと)
iPodに入れたブルーノート。
ようやく先日1周終わって、2周目に突入した。
正直1回目はよく分からないことが多いし、
仕事終わりなどでは、そのまま眠りに落ちてしまうこともある。

本当の戦いは2周目からである。
これはマクリーンの時にも感じたが、
2周目になるとやっぱり耳に残るものは残る。
それに僕の方も「このままではあかん!」と
1回目よりも集中して聴こうと心がけようとはする。

そんな中、先日妙にもの悲しく優しいテナーの音が流れてきた。
音と記憶を頼りにブラインドしてみる。
(ジョーヘンだな…)
果たして、……正解である。
1人遊びとはいえ、正解すると嬉しくなる。

ちょうど電車の窓から外の景色を見ながらであったが、
5月の風のさわやかな天気の日であった。
新緑もきれいに映えて、初夏の陽気が心地よい。
そこにジョー・ヘンダーソンである。
『アワ・シング』の「エスカペード」であった。
アンドリュー・ヒルの上品なピアノのイントロから入り、
ジョーヘンとまたまたケニー・ドーハムの2人が、
静かに落ち着いたメロディーを吹く。
ジョーヘンのソロも落ち着いていて、
柔らかくゆったりとした音色に心を奪われる。
ソロは後半には堂々とした雰囲気もにじみ出てくる。

ドーハムのソロがいいのはもちろんのこと。
間を十分に生かして丁寧に吹き込むのはさすがである。
とんがりすぎず優しい響きが何とも言えない。
そしてブルーノートのアルフレッド・ライオンの秘蔵っ子
アンドリュー・ヒルの滑らかで、
黒さのあるどこか耽美なピアノはもの悲しい。

やがて締めのテーマに戻った時、
決して暗いわけではないのだが、哀愁溢れるこの曲に
不覚にも心をやられてしまった。

5月の緑眩しい真っ昼間に
ジョーヘンの優しい響きもいいもんだ。