国道122号沿いの音楽喫茶 『ドルフィン』

さぁ、音楽を聴け!
コーヒーは自分で沸かして用意して…
そんな仮想の音楽喫茶

聴け! 部屋に広がるヴァイブのクールなサウンドを

2009年05月14日 | マスターの独り言(アルバムのこと)
ヴィブラフォン(通称ヴァイブ)という楽器がある。
鉄琴の一種らしいが、どこがどう違うのか分からないので調べてみた。
どうやら普通の鉄琴よりも音が大きく、しかも低音が出るようだ。

僕にとってヴァイブは、面白いとは思えない楽器だった。
音がクリアすぎて、どっしりとしたジャズの味わいを
感じることができない。
軽やかすぎるヴァイブの音で、演奏があっさりとした感じになり、
どうもしっくりこないのだ。

特にボビー・ハッチャーソンの『ハプニングス』は、
初めて聴いたヴァイブのアルバムであったが、
1曲目の「アクエリアン・ムーン」は、聴いてもよくわからず、
2曲目の「ブーケ」で心底聴くことに疲れ果ててしまっていた。

しかし気づいたのだ。
この『ハプニングス』は、4曲目から聴くべきなのだと!
奇しくもLPのB面と同じなのだが、
4曲目はハービー・ハンコックのあの名曲「処女航海」なのだ。
「じゃじゃーん、じゃーん、じゃーん」
というハンコックのピアノに、
「たたたーん、たたたたたーん」
ハッチャーソンがテーマをのせる。

この瞬間にヴァイブの響きが完全に僕の中で一致した。
ハンコックがソロを弾く。
自分のアルバムで聴かせたよりも深く軽やかなメロディーで。
やがてハッチャーソンの透明的であるが、
力のこもったソロへと変わっていく。
スピーカーから響く力強い音は、部屋中に広がっていく。
後半になると熱く激しくなってくるのだが、
それでもヴァイブの音が、全体をクールに引き締めている。

6曲目の「ホエン・ユー・アー・ニア」の間を十分に取り
しっとりと歌い上げるハッチャーソンの演奏がこれまたたまらない。

いまではハッチャーソンのヴァイブにベタボレである。
やっぱり聴き込まないとジャズの良さが見えてこないことがあるのだ。