国道122号沿いの音楽喫茶 『ドルフィン』

さぁ、音楽を聴け!
コーヒーは自分で沸かして用意して…
そんな仮想の音楽喫茶

Aとは違ったBの世界

2009年05月26日 | マスターの独り言(アルバムのこと)
何度か取り上げたのだが、
やっぱりケニー・ドーハムはいい。
名のあるトランペッターは数多くいる。
その中でもやっぱりケニー・ドーハムは好きなトランペッターだ。

『アフロ・キューバン』のB面
つまり5~7曲目までは、コンガが入っていない。
そしてブルーノートによくあるのだが、
作曲者が統一されている。
アルフレッド・ライオンが作曲者に非常にこだわっていた話はよくある。
1~4曲目までは一曲だけ作曲者が異なっている。
それ以外は全てドーハムが作曲をしている。
前にも書いたが、ドーハムは作曲者としても有能なのだ。

B面は、全てドーハムの作曲である。
これが大切だ。
アルバム全体の統一された雰囲気がとてもよく伝わってくる。
3管(トランペット、テナー、バリトン)で厚みがあり、
華やかに吹きまくる演奏はA面の南米雰囲気にも負けていないだろう。
何よりもドラマーがアート・ブレイキーであり、
シンバルを力強く、かといってうるさくなく打ち鳴らす。
コンガにも負けない布陣だろう。

「K.D.ズ・モーション」では、息のあった3管演奏が聴ける。
まさに黒さの象徴であるかのように、
ドーハムもモブレーも
1音1音がねっとりと絡みつくかのように音を絞り出している。
ピアノのホレス・シルヴァーも陽気にじっとりとした音で支える。

「ザ・ヴィラ」は全体として快適なスピード感で進んでいく。
ブレイキーの軽妙なリズムに乗り、
ドーハムが流れるように吹き進む心地よさは何とも言えない。

「ヴェニータズ・ダンス」では、
哀愁感漂うテーマのメロディーがたまらない。
その後のドーハムは吹きすぎず、
じっくりと音を楽しむようにソロを取っている。

B面にあるのはA面とはまた違ったドーハムの世界である。
これぞ「ザ・ハードバップ」だ!