国道122号沿いの音楽喫茶 『ドルフィン』

さぁ、音楽を聴け!
コーヒーは自分で沸かして用意して…
そんな仮想の音楽喫茶

目指すは「かっこいい音楽」!

2009年05月17日 | マスターの独り言(アルバムのこと)
一時期、マイルスにはまったことがある。
中山康樹氏の『マイルスを聴け!』を片手に片っ端からマイルスを聴いた。
ブートレグ(海賊盤)にまで手を出すようになった。
そして思うようになった。
「マイルス以上にかっこいい音楽に出会えないだろう」と。
だからしばらくジャズを聴くのを止めてしまった。

再びジャズを聴くようになって、
できるだけマイルスに近づかないようになった。
引き込まれてしまうと危ないのだ。

僕は世代のせいもあると思うが、
エレキマイルスにアレルギー反応を起こさなかった。
むしろエレキになってからのマイルスの方がかっこいい。

『イン・ア・サイレント・ウェイ』
よく『ビッチェズ・ブリュー』の実験盤だと言われるが、僕はそうは思わない。
タイトル曲「イン・ア・サイレント・ウェイ」は、
「イッツ・アバウト・ザット・タイム」を挟むように最初と最後に流れる。
「イン・ア・サイレント・ウェイ」は
ジョー・ザビヌルの世界であり、
ショーターとマイルスが、その静かで広大な宇宙的世界に色を添える。
(ここに「ウェザー・リポート」の世界の原型が見て取れる)

間に挟まれた「イッツ・アバウト・ザット・タイム」は、
トニー・ウィリアムスとデイブ・ホランドが、
激しくしかも正確にリズムを刻む。
ジョン・マクラフリン、チック・コリア、ハービー・ハンコックと
名プレイヤー達が不思議で魅惑の世界を演出する。
その対比がかっこいいのだ。
そしてマイルス自身のソロもかっこいい!
クールであっても、その青白く燃え上がる炎は隠しきれない。
マイルスが激しく全員を燃え上がらせるのだ。

そう、マイルスは「かっこいい音楽」をやりたかっただけなのだ。
それはアコースティックであれ、エレキであれ、
いつでも目指すは「かっこいい音楽」なのだ。