国道122号沿いの音楽喫茶 『ドルフィン』

さぁ、音楽を聴け!
コーヒーは自分で沸かして用意して…
そんな仮想の音楽喫茶

最後は結局これが言いたいのだ! 「ウコ・ポコ・ローコ」を聴くVol.4

2009年05月22日 | マスターの独り言(曲のこと)
今日は、
最後に他の演奏者がどのように「ウコ・ポコ・ローコ」を
演奏しているのか聴いてみよう。

ジャズにおいて曲はあくまで材料である。
与えられた材料をより優れたものに調理していくのがアドリブである。
テーマを聴いただけでは、パウエルとの比較はできない。
やはりアドリブに注意して聴き込むことが大切になってくる。
ただ、勘違いをしないでほしいのは、曲や演奏の優劣ではない。

僕が持っているアルバムの中で「ウコ・ポコ・ローコ」が
収録されているのは、パウエル以外では2枚ある。
もともと曲が曲であり、
『ジ・アメイジング・バド・パウエル』の冒頭3連発のせいか、
奇曲の代名詞としてよく出てくるため、
有名なスタンダード曲でもない。
それほど演奏する人はいないのかもしれない。

最初はアル・ヘイグの『ブルー・マンハッタン』である。
同じピアノ奏者ということで演奏自体は近い。
アドリブにも他のパウエルの曲を引用するなどしている。
初めて聴いたのであれば、聴きやすいだろう。
ただパウエルと比べた時、やはり重さに違いがある。
アル・ヘイグの耽美的な世界を創り出す軽く鬱的なタッチは、
やはり本場の鬱々とした重々しいパウエルの響きとは大きく異なる。
跳ねるように疾走していく感じはいいのだが……

もう1人はボビー・ハッチャーソンの『ウコ・ポコ・ローコ』である。
ヴァイブでの演奏である。
エレキギターなども入っているためちょっとフュージョンぽい。
そうした独創感で、曲を生き生きとさせている。
全員が一丸となって「ウコ・ポコ・ローコ」という曲を
創っている感じは悪くない。

だが最後はパウエルに戻ってきてしまう。
あの激しい3連弾の「ウコ・ポコ・ローコ」は、
やっぱりパウエル自身による演奏が
記憶に残る最高の名演なのだ!