国道122号沿いの音楽喫茶 『ドルフィン』

さぁ、音楽を聴け!
コーヒーは自分で沸かして用意して…
そんな仮想の音楽喫茶

聴け! ジャズの「黒さ」を感じられるテナーを

2009年05月28日 | マスターの独り言(アルバムのこと)
最初にジャズアルバムを買うとなると
巷で知られたビル・エヴァンスやマイルス・デイヴィス、
デイブ・ブルーベックの『テイク・ファイブ』などが
最初の1枚になりやすい。
もしくは、コンピレーション物というのも考えられる。
僕の最初の1枚は『ジャズスタンダード集』だった。
幸か不幸か今は手元に残っていない。
最初の1枚でジャズに目覚める例は少ないのだ。

エヴァンスやマイルスなんかでもいいが、
ジャズを聴き始めた頃に
「お、ちょっと今まで聴いてきた音と違うぞ」
と感じられると、その後のジャズ人生も長い。
と、いうことで今日は、ジョニー・グリフィンの
『イントロデューシング・ジョニー・グリフィン』である。

まず聴いて感じられるのが、
グリフィンの吹く深みのあるネットリとしたテナーの音色である。
からっとした感じではない。でも、耳にしっかりと残る音色だ。
これこそがジャズの根幹である「黒さ」である。
どことなく全体に余裕もある。
とてもブルーノート初リーダーアルバムとは思えないほどの落ち着きがある。
6曲目の「イッツ・オールライト・ウィズ・ミー」の
漆黒の風が通り抜ける爽快なスピード感。
かと思うと7曲目の「ラヴァー・マン」では、
十分な間合いでじっくりと聴かせる。

元々、小柄でテナーには向いていないと言われていながらも、
テナーをあきらめきれずに極めてしまったグリフィンの不屈の音色は、
まさにジャズなのだ。
ある程度ジャズを聴いていればグリフィンとは必ず出会う。
パウエルであれ、モンクであれ、
グリフィンは難解極まるピアニスト達とも共演しているのだ。
決して大物に呑み込まれず、
自分の音を吹き続けるグリフィンはまさにジャズメンなのだ。

グリフィンを聴かずしては、
ジャズを聴いたと言うことはできないのだ。