国道122号沿いの音楽喫茶 『ドルフィン』

さぁ、音楽を聴け!
コーヒーは自分で沸かして用意して…
そんな仮想の音楽喫茶

つまりはチック・コリアにがんばってほしいのだ!

2009年05月08日 | マスターの独り言(アルバムのこと)
普段、音楽を聴くといっても何気なく聴いていることが多い。
CDはかければ最後まで自動で音楽を流してくれる。
現代社会は忙しく、価値観も多様化している。
音楽を聴くことに腰を据えて聴く人は
少なくなってきているのが現状であろう。

そこで我らがチック・コリアは考えてしまったのではないか。
「どんな人にも自分の創る音楽を聴いてほしい」
だから迷走をしてしまったのではないか?
そして、名盤『リターン・トゥ・フォーエヴァー』が、
大ヒットしたことが、
チックの歩む道を誤らせてしまったのではないか?
そして何でも器用にこなせてしまうチックの才能が、
チックに夢を見せてしまったのではないか?

残念ながら僕は、カモメのジャケットで有名なこの盤を
時代と共に聴いたわけではない。
ただ、後藤雅洋氏が「時代の変化」を感じ、
寺島靖国氏がレコード会社に「カモメの大ヒットを忘れろ」と言うほど、
時代を感じさせるアルバムであったことは間違いない。
今、僕が聴いてもさわやかでかつ熱い風を感じさせる
『リターン・トゥ・フォーエヴァー』は素晴らしい作品だと思う。

ようは僕は『スリー・カルテッツ』のような作品を作ってほしいのだ。
1980年代ジャズの多様化の時代、
燦然と新しい世界を築いたチック・コリアの燃焼作品でもある。
マイケル・ブレッカーの鋭く尖ったテナー音と、
スティーヴ・ガットの的確で軽やかなリズム。
まさに新時代の到来を感じさせる響きである。
そしてエディ・ゴメスの攻めるベースプレーは、
ベテランの凄みを感じる。
チックの緊迫感溢れるピアノはまさに秀逸である。

チックのプロデュース力が並はずれたものであることが分かる。
過去のアルバムを聴けば聴くほど、
多様化の波に流されてしまったチック・コリアが
残念でならないのだ。