国道122号沿いの音楽喫茶 『ドルフィン』

さぁ、音楽を聴け!
コーヒーは自分で沸かして用意して…
そんな仮想の音楽喫茶

君はジャズで宇宙まで飛び出したことがあるか!

2009年05月06日 | マスターの独り言(アルバムのこと)
1952年9月26日
ハーレムのロックランド・パレスという場所で、
ダンスパーティーが開かれた。
主催者はベンジャミン・デイヴィスという人で、
アメリカで官職についた最後の共産党員だそうだ。
そのダンスパーティーで演奏をしたのが、
チャーリー・パーカーである。
ダンスパーティーのための演奏をしている。
だが、果たして出席者たちは無事に帰宅することができたのか?

音源は正式なものではなく、参加していた誰かが録音したものである。
確かにダンスに合った演奏も残っているので、
ダンスパーティーだったのは間違いないだろう。

ところがパーカーはこの観客達を手玉に取って、
この会場を乱痴気騒ぎに変えてしまった。
1枚目のトラックの最後「レスター・リープス・イン」
おそらく史上最強のライブ演奏だろう。

とにかくスピード感が尋常ではない。
アルトサックスで、この音量で、この音色で吹き込むか
と、ばかりに音が駆け抜ける。
後ろの演奏者達はついていけていない。
パーカーが1人でリズムを刻み、
パーカーが1人でメロディーを奏で、
パーカーが1人で即興演奏を進めて曲を完成させていく。

とはいっても、最初僕は聴いてもピンとこなかった。
スピードはすごいと思った。
でも何が興奮に結びつくのかが分からない。

何度目かに、僕はパーカーの音色に誘われて
宇宙にまで引き出されるかの浮遊感を覚えた。
そして星と星がひたすらにぶつかり合い、
僕の脳内を激しく揺さぶった。
そんな感触を得た。
そしてジャズの凄まじさとパーカーの恐ろしさを感じた。
あまりにも抽象的すぎるかもしれない。
これは僕の体験であり、感じたイメージである。
でもこれがジャズを聴くことなんだと僕は思う。

実際にあの会場にいたら、僕はどうなっていたんだろう?