国道122号沿いの音楽喫茶 『ドルフィン』

さぁ、音楽を聴け!
コーヒーは自分で沸かして用意して…
そんな仮想の音楽喫茶

23年間 あるジャズピアニストは悔やみ続けた?

2009年05月24日 | マスターの独り言(アルバムのこと)
地元にあるCD屋にレコードが入った。
ロックから果てはイージーリスニングと
こちらの望む品揃えとはいえないが、贅沢を言うまい。
LPは、ある時ふと探していたものに出会うまで、
太公望のように黙って待つことも大事なのだ。

そこでトミー・フラナガンの『ジャイアント・ステップ』を見つけた。
「名盤の陰にはフラナガンあり」である。
他人の名盤によく名前があるが、結構自作もいいものが多い。
当然購入である。

タイトルでも分かるが、
ジョン・コルトレーンの『ジャイアント・ステップ』の曲を
演奏したアルバムである。
フラナガンは、コルトレーンの『ジャイアント・ステップ』で
ちゃんと弾けなかったことを悔やみ、
その想いを遂げようと挑戦したアルバム…のようだ。

実際にコルトレーンの『ジャイアント・ステップ』を聴くと
タイトル曲では高速で進む複雑なコード進行についていけず、
フラナガンはソロの途中からはコードを押さえるだけになってしまっている。
録音もあるだろうが、フラナガンの音は小さく、自信がなさそうにも聞こえる。
「ジャイアント・ステップ」のコード進行については、
村井康司氏の「ジャズの明日へ」(河出書房新社)などを
参考にしてもらいたいが、
コルトレーンがいろいろな実験していたころのアルバムであり、
全曲コルトレーンが用意している。
コルトレーンが進むべき方向を模索していた頃であるため気合いも十分である。
ソロは切れ味鋭い剃刀のように、空間を切り裂いていく。
それこそ速射砲のごとくクリアで明確な1音1音を空間に撒き散らし、
辺りがコルトレーンの足跡でいっぱいになってしまう状況だ。

LPはまだ聴くことができないので、
とりあえずしばらくはコルトレーンを聴いて、
その巨大な足跡の疾走感に身をゆだねておくしかないか…