国道122号沿いの音楽喫茶 『ドルフィン』

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天才は練習でも聴かせてしまう 「ウコ・ポコ・ローコ」を聴くVol.2

2009年05月20日 | マスターの独り言(曲のこと)
今日はバド・パウエルの「ウコ・ポコ・ローコ」のテイク2を聴いてみよう。

まず気づくのが、
マックス・ローチのベル音である。
テイク1では、激しく鳴らし続けていた金属製ベル音(おそらく)の音数が減る。

ここから考えられるのは、
①パウエルが減らすように言った。
②アルフレッド・ライオンが減らすように言った。
③ローチ自身が減らした方がいいと考えた。
④パウエルとライオンの2人が減らすように言った。
の4パターンぐらいが思いつく。
おそらくだが、②が正しいのではないか。

ライオンは、パウエルの録音は嫌っていたが、
パウエルの才能はとても認めていた。
そしてパウエルがピアノトリオで
その才能を発揮することも前の録音から分かっていた。
1951年5月1日が録音日であるが、
その前日にライオンは、パウエルが逃げないよう自宅に誘っている。
だが結局録音直前に、パウエルがトイレから脱走。
録音が行われたのが、予定時間よりも1時間以上後の話だ。
(「超ブルーノート入門」 中山康樹著 集英社新書参照)

この日ライオンはどうしてもパウエルを録音したかった。
パウエルよりもローチが目立ってはいけなかったのだ。
テイク1のようにローチの音が前面に出てしまったり、
ローチのドラムで終わるのは、パウエルを引き出していないだろう。
仮にパウエルが口を入れていたとしたら
「うるさい!」の一言だっただろう。

ブルーノートは、リハーサルをすることで有名だ。
自由奔放のパウエルがリハーサルをした可能性は低い。
テイク1は指慣らしであった可能性が高い。
その証拠にテイク2からは、後テーマが入っている。
パウエルの音で終わっているのだ。
途中ローチの気持ちを組むように、少しソロも入っている。

だが本テイクは、この後の演奏になる。