ある医療系大学長のつぼやき

鈴鹿医療科学大学学長、元国立大学財務・経営センター理事長、元三重大学学長の「つぶやき」と「ぼやき」のblog

学術的ブログへのアクセス数について

2015年04月09日 | 高等教育

 この2年間ほど、論文数分析シリーズのブログを書いてきたのですが、いわゆるブログらしくない、多数のデータを羅列した長文の学術論文的ブログにもかかわらず、かなりのアクセス数があったことに、びっくりしています。むしろ僕の場合、いわゆる日記的ブログよりも、普通の人が敬遠しそうなむずかしい論文シリーズの方がアクセス数が多くありました。しかも、新しい知見が得られた場合に、アクセス数が多くなります。これは、読者がちゃんと内容を読んでおり、評価をし、そして、それがアクセス数に反映されていることを意味すると思われます。

 ブログは、有名人や人気ブロガーの日記やつぶやきに多くのファンが殺到するというようなことが一般的な現象で、今でもそれは変わらないわけですが、一方、このような学術的ブログへのアクセス数がけっこうあるということは、SNSに、単なる個人の意見というよりも、データ(根拠)にもとづく信頼度の高い情報が求められる段階に来ているということではないかと思います。

 さらに、今後、食品の機能性表示の緩和に伴い、ウェブ上に各種のデータが溢れてくる可能性があると思いますが、そうすると、データの信憑性がSNS上で議論されるということにもなるのではないでしょうか?SNS上のおびただしい玉石混交の情報の中から、信頼度の高い情報を選んで提供するサービスは、今後ますます重要になってくるものと思われます。(来年8月に、鈴鹿医療科学大学で開催する予定の「日本糖尿病情報学会」は、そのような目的で作られた学会です。)

 また、従来の学術誌という媒体に加えて、SNSが有力な学術媒体になりうる、あるいはすでになっているということも感じています。現に、ある程度の学術論文はウェブ上で入手できるようになりましたし、講義や講演の準備なども、ほとんどウェブ上のデータでできるようになりました。そもそも、僕の分析についても、論文数そのものの分析はトムソン・ロイターの学術文献データベースを使っているのですが、それ以外のデータについては、ほとんどがウェブ上の公開データにもとづいています。

 下のグラフは、最近2週間の僕のブログへのアクセス数のデータですが、3月30日付けの国立大学協会報告書草案の最終結論のブログへのアクセス数は3月31日にピークがあり、3日間で約1万人以上の方々に読んでいただいたことになります。

 これには、やはりツイッターやフェイスブックによる情報の拡散機能が役割を果たしていると考えられます。この時のタイトルを紹介をしたツイートに対するリツイート数は197件でした。普段の僕のつぶやきのリツイート数はほとんど0、あるいは、せいぜい一桁台です。3月27日に小さなピークがあるのも、論文数分析の学術的ブログですが、この時のリツイート数は18で、訪問者は約1000人でした。そうすると、リツイート数100件あたり約5000人に拡散するという計算になりますかね。

 

 いずれにせよ、ブログで学術的なデータを公開するというのは、けっこう勇気がいることかも知れません。高く評価される場合もあるし、批判される場合もあるし、いやな書き込みをされることもあります。それに自分の能力を、まさに衆目にさらけ出しているわけですからね。読む人が読めば、こいつは大したことがないということが、すぐにばれてしまう。

 実際、僕の統計学的分析能力は、せいぜい重回帰分析程度であり。近年の計量経済学の分析手法を使っての分析はやっていません。(今後、勉強したいと思っているのですが・・・)  統計学や計量経済学の専門の先生方から見れば、ずいぶん稚拙な分析をしているな、と思っていらっしゃるのではないでしょうか。

 でも、そのような高度な分析手法を使えなくても、生のデータをじっくりと眺めて、分析に使えるデータかどうかを吟味し、ああでもない、こうでもないと思案を巡らすことによって、そのデータの裏に潜む本質が見えてくるということがあるのではないかと思っています。

  今後も、読者の皆さんからいろいろとお教えいただくとありがたいと思いますし、また、僕のブログでも適宜紹介していますが、文科省の科学技術・学術政策研究所のみなさんも論文数の分析をしておられ、重要な分析結果を出しておられるので、僕なりの解釈も含めて、ご紹介していきたいと思っています。僕一人だけのデータでは、信頼性が低いですからね。

 

 

 

 

 

 


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