ある医療系大学長のつぼやき

鈴鹿医療科学大学学長、元国立大学財務・経営センター理事長、元三重大学学長の「つぶやき」と「ぼやき」のblog

学生浪曲師、真山隼人くんがんばれ―作野前学長慰労会にて―

2013年06月17日 | 高等教育

 6月15日の土曜日に、この3月まで鈴鹿医療科学大学の学長をお勤めになった作野史朗先生の慰労会がホテルグリーンパーク鈴鹿で行われました。作野先生は三重大学教育学部長、三重県教育委員会委員長、放送大学三重学習センター長を歴任され、鈴鹿医療科学大学の学長をこの3月までお勤めになられました。現在78歳ですが、りっぱなご体格で、お年をまったく感じさせない迫力です。

 作野先生が学長をされた8年間は、鈴鹿医療科学大の前理事長の中村實さんから現理事長の高木純一さん(下の写真の左端)への交代の時期でもありました。4年制の医療系大学は、開学23年目を迎える鈴鹿医療大が日本で最初とされているのですが、その後、数多くの医療系大学や学部が設立され、競争はたいへん厳しくなっています。その厳しい状況の中で、新たに薬学部を設置するなど、鈴大が「医療系総合大学」として発展する基盤を確立されました。たいへんお疲れ様でした。

 

 僕はそのような作野先生のあとを任されたわけですが、作野先生の時代が鈴鹿医療科学大の発展の歴史のセカンド・ステージであるとすると、僕には、その基盤をもとに、「医療系総合大学」としてのブランドを名実ともにいっそう確固たるものにし、さらに飛躍をするサード・ステージの改革をすることが期待されているわけです。責任を感じるとともに、大いにやる気を感じているところです。

 来年から始まる「医療人底力実践」という大きな初年時カリキュラム改革を準備された鎮西康雄先生(元三重大学医学部長、上の写真右端)にさっそく副学長になっていただき、来年度開講予定の看護学部や薬学研究科、そして、ロボット・スーツをはじめとするライフイノベーションの産学官連携への貢献なども含め、さまざまな教学改革を実行していきたいと思っています。

 さて、作野先生の慰労会のアトラクションでは、今年4月に鈴鹿市にある白子高校から鈴鹿医療科学大の鍼灸学科に進学された真山隼人さん(本名は内田隼人くんです)の浪曲が披露されました。

 実は、彼は正真正銘のプロの浪曲師なんです。小学生のころにラジオで聞いた浪曲に感銘を受け、高校生になると大阪の浪曲師、二代目真山真一氏に弟子入りして、昨年11月にプロデビューしたとのこと。現在、18歳で、全国最年少のプロの浪曲師です。そして、この5月26日には三重県文化賞の「文化新人賞」を受賞されました。

 たぶん、今どきの若い人は浪曲なんてまったく関心がないんでしょうね。そういう僕も、今までは浪曲にはまったく関心がなく、今回、始めて浪曲なるものを直に聞かせていただいたんです。題目は忠臣蔵の俵星玄播。この世界では、超有名な定番になっている題目のようです。

 感想は、すごいの一言。かぶりつきで聞かせていただいたこともあるかもしれませんが、演歌歌手の氷川きよしを連想させる細めの体から発せられる歌や言葉の迫力に圧倒されました。それを30分間続ける。これぞプロのなせる技。洋楽やフォークやポップスに慣れ親しんできた僕たちには「ああ、こういう世界もあったんだ」と、とっても新鮮に感じました。

 裏方で浪曲に欠かせない楽曲や拍子をタイミングよく挿入していたのはお父さん(下の写真右から2番目)。それまでお父さんは浪曲とは縁のなかったかたですが、今では息子さんといっしょに二人三脚で、全国を回っておられるとのこと。

 隼人くんが浪曲にモダンな風を吹き入れてくれれば、もっと多くの層のファンが増えて、ブレイクする可能性もあるんじゃないかな、と思いました。

 7月27日(土)には東京浅草の木馬亭で「火花を散らせ 決戦若手浪曲大会」に出演が予定されています。ポスターには「関西より学生浪曲師 浪曲演歌 真山隼人 18才 出演」なんて書かれています。日本の浪曲界も大きな期待を抱いていることが感じられますね。

http://blog.goo.ne.jp/genroku1701

 そんなことで、東京の読者のみなさん、お時間があれば覗いてやっていただければ幸いです。

 隼人君の生き方を見ていると、同世代の友達が見向きもしないような”浪曲”という伝統芸能に価値観を見出し、自分の夢を明確にして、それを追及し、それに賭けてみるという一種の”ベンチャー精神”に通じるものを感じさせられます。これは、今の日本の安全志向で内向き志向の多くの若者に欠けていると言われている資質の一つですね。

 そして、もう一つ僕がえらいな、と思うことは、隼人君が今回鈴鹿医療科学大に進学して、学業と浪曲の2足のわらじを履くことにしたことです。1つのことを追及するのか、学業との両立を目指すのか、このあたりは考え方が分かれるところだと思いますが、僕はまだまだ若い彼には、ぜひとも学業と浪曲の両立をしていただきたいと思います。

 隼人くん、大いに期待してますよ。ぜひとも頑張って下さいね。

(2~4枚目の写真は鈴鹿医療科学大学理学療法学科の 馬 寧 教授の撮影による。)

 

 


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