東日本大震災のために入学式も迎えられない学校や大学があるという状況の中で、新しい年度が始まりました。原発事故の解決も長引くとの見通しですが、被災地への支援もそろそろ緊急の支援から復興のフェーズに入ってきたのではないかと思います。何事もなかったかのように桜の花が咲きかけてきましたが、春の到来が大震災の復興へのはずみになって欲しいと願っています。
新年度を迎え、国立大学財務・経営センターの職員に対して挨拶をさせていただきました。新年度にあたって職員へ投げかけた私のキーワードは”逆境の中でこそプロダクティブな仕事をしよう!!”です。
私がこんな挨拶をさせていただいた気持ちは、もちろん東日本大震災で被災された多くの皆さんが、大きな悲しみと逆境の中でも、これから復興に取り組もうとしておられる、その気持ちを、被災をしなかった私どもも共有しようということです。
国立大学財務・経営センターは国立大学の経営を支援するいくつかの活動を行ってきましたが、昨年の事業仕分けの結果、国立大学に対する経営支援事業がこの3月31日をもって廃止となり、大学の財務・経営に関する研究事業も今年度1年限りで廃止とされました。ただし、国立大学の施設・設備整備に係わる交付事業、および附属病院の再開発等の施設・設備整備に係わる貸付事業の二つの事業は、その必要性から当面存続とされました。
こういう削減・縮小の流れの中で、財務・経営センターの職員の意識も何となく暗くなりがちな新年度だったのですが、私は、最終的に政府が必要であると認めた事業が一部でも残された以上、国民の利益のために最大限プロダクティブな仕事をしようと檄を飛ばしました。
”逆境の中でこそプロダクティブな仕事をしよう!!”
震災に遭われた皆さんの逆境に比べれば、私たちの状況は比較になりませんね。削減・縮小の中でも、少しでもプロダクティブな仕事をして、国民の利益になることをしなければ、被災された皆さんにほんとうに申し訳ないと思います。
ところで、今回の大震災における医療支援において、被災地にある大学病院が地域医療・災害医療の最期の砦として大きな公的使命を果たし、地域にとって必要不可欠な存在であることを、多くの皆さんが改めて感じられたのではないでしょうか?
大学病院は、このような災害時の拠点病院ということ以外にも、教育・研究・高度医療・地域医療貢献という大切な公的使命を普段から果たしています。しかし、法人化第一期(2004~09)における国立大学への交付金の削減と債務償還負担の増、新医師臨床研修の導入、診療報酬マイナス改定などの影響が重なって、各大学病院の懸命の経営改善努力にも係わらず、公的使命、たとえば地域医療への医師供給機能の低下や研究機能の低下を招いています。
国立大学財務・経営センターの役割の一つは、この重要な公的使命を持つ国立大学病院の施設・設備の充実や整備に対し、貸付という形で支援をすることです。そして貸付に必然的に伴う業務として、大学病院の経営評価や審査があるわけですが、当センターの役割は、民間金融機関のように単に貸したお金が返って来さえすればいいというものではありません。借金は返しても、大学病院の公的使命が損なわれるような事態になれば、それは本末転倒ですからね。
国民にとり、そして地域にとって必要不可欠な国立大学病院がその公的使命を向上させつつ、しかも健全な経営が可能となるように支援をすること。これが、財務・経営センターの最も重要な役割であり、そのための技量を磨く努力が私どもに求められていると考えています。
”逆境の中でこそプロダクティブな仕事をしよう!!”
3回も同じ事をブログで書いてしまいましたが、職員に対する挨拶でもこの言葉を3回発しました。職員にほんとうに覚えて欲しい言葉は何回も繰り返すことが必要ですからね。