続「とのむら通信」ブログ版

前島本町議会議員・外村敏一(平成29年4月29日付けで引退)
日々の思いや議会傍聴の感想など引き続きお伝えします。

憲法改正論議は政権与党や自民党が主導すべきではない

2017年12月23日 | 日々の思い


憲法改正論議と言えば9条に関してがメインのように仕向けたのは一体誰なのか? そもそも何故今俄かに憲法改正が必要なのか。
本当に多くの国民がその必要性を感じているのだろうか。長い間の自民党政権の中でも特に「自身の最大の目標」と言う安倍総理が
主導して今日まで機運醸成に務めて来て、且つ直近2度の衆院選に大勝利したからというのが本当のところではないか。
憲法改正はあくまでも国民の多くがそれを求めてこそ初めて「国会が発議できる」のであって時の政権が主導すべきものではない。

しかしいまの情勢では来年から本格的な議論が自民党主導で行われることは間違いない。そこで大事なのは9条だけではないということ。
日本国憲法は前文から第103条まであり、改正論議を始めるのなら先ずはその中のどの条項が本当に改正すべき対象なのかを先に整理
することが肝心。しかし世の風潮やメディアは「憲法改正に賛成か反対か」などという乱暴な議論に矮小化して、改正=9条の改正みたいな
間違った世論誘導をするものだから始末が悪い。条文・項目ごとに改正に賛成か反対かを問うのが基本である。

国会は国民の代表が集まっているいるのだから国会(政権与党)が改正を望んでいる=国民の意志だとするのは極めて短絡的な暴論である。
憲法を改正するには最初に国民がその意向を示し、それを受けて国会が発議する。そして最終的には国民投票で決めるのであるから国会で
議席多数を占めるからといって自民党の憲法改正推進本部が主導して進めるというのは僭越である。なぜなら与党は議席こそ7割以上を
取ったかもしれないが、得票数は4割以下。即ち国民の意志が国会発議の要件なのだからここは与党も野党もない。与野党等しい人数か
もしくは得票数に応じて委員を選任し、且つ合わせて国民の各界代表者で構成する場での議論をするのが望ましい。その上で先ずはどの
条項を改正するのが現代の民主社会に相応しい改正必要項目であるかをオンテーブルして議論すべきである。

しかし残念なことにもう既に9条の1項、2項をどうするのか、2項を残すのか削除するのかなどということが焦点にされている。全くもって
怪しからん話である。一昨年の9月に強行採決した「集団的自衛権行使を容認するという」新安保法制を可決して以降益々我が国を取り巻く
近隣諸国の目が厳しくなり、平和主義国家⇒軍国主義復活危険国家とみなされての脅威が増している現実を顧みれば9条2項削除などしよう
ものならもはや「戦争する国」として敵視される度合いが増すことは間違いない。そんな憲法改正を日本国民の誰が望んでいるというのか。

自民党は今回の改正論点として4つ挙げているという。①9条の改正 ②緊急事態条項 ③教育無償化・充実 ④参院の合区解消の4つというが
もっと他にも大事な項目は沢山あるのではないか。私は前から言っているが衆議院の解散権が総理にあり、しかもいつでも自身や党に最も都合
が良い時(選挙に一番有利な時)に解散出来るなどという非民主的な項目は即刻改正する必要がある。先進諸外国では認めていない。解散権が
行使できるのは内閣不信任が可決されたときのみで本来は任期4年いっぱい務めるのが筋。日本の様に任期を待たずに莫大な税金を使って選挙
ばかりしている国は他にない。
これこそ最大の税金の無駄使いであろう。又教育の無償化・充実などは憲法を改正しなければ出来ないことは無い筈。これは先の選挙で急ごしらえ
の選挙公約に入れた為に出してきたのではないかと思われても仕方ないほどのもの。

いずれにしても我々国民の一人ひとりがこの際我が国の憲法をじっくり学習することから始めなければならない。そしておかしいことには反対や
自分の意見を言えるようにしないといけない。その上で国民的議論を展開する必要がある。そうでなければ後世に禍根を残すことになる。
最後にもう一つ大事なことがある。それは仮に国民投票になったとしてもその投票率が問題である。最近の国政選挙でも投票率が50%を切る例は
いくらでもある。
万が一憲法改正の是非を問う国民投票が実施された場合、日本では投票率が50%を割っても有効とするのかどうか。韓国では50%をわれば無効
という規定があるらしい。これは一定の理性が働いている良いルールだと思うが果たして日本はどうするのか。これも注目したい。