続「とのむら通信」ブログ版

前島本町議会議員・外村敏一(平成29年4月29日付けで引退)
日々の思いや議会傍聴の感想など引き続きお伝えします。

アベノミクスは大丈夫か?そして終わりの始まりか。

2014年09月06日 | 雑感


先日のブログ(8月28日)では日本の経常赤字が過去最大の6兆円に達し、日本経済の先行き不安について書いた。
そして昨日は5年11カ月ぶりに円が一時105円71銭の安値を付けた。対ドル105円という水準自体はそんなに安値ではない。
過去10年くらいのスパンで124円台の円安から75円台の円高という変動幅の中でどの辺りが妥当な水準であるかの判断は
難しい。為替相場はその時々の世界の経済情勢に左右されるし、それぞれの国の景気状況や経済構造によっても変わる。

内需に乏しい日本経済の構造は国内で生産した物を輸出して(殆ど外貨建て契約)対価をドルやユーロで得ていたので円安に
なると手取り収入が膨れあがり、円高になると手取りが目減りするということで過度の円高は困るという構造でした。
当然ながら一方では原油や食品、原材料など殆どの資材を輸入に頼っている日本としては円高の方が購入原価が安くて歓迎
という構図は以前からあった。しかしその構図も一昔前で今や輸出産業の代表格である自動車の海外向けは殆ど海外で生産
している状況であり、円安効果は低くなっている。むしろ海外から購入している部品なども多く相殺されている。

特に福島での原発事故以来殆どの原発が停止している状況下では最大の電力供給源である火力発電用の原油などエネルギー
輸入をはじめ、金属資源、食糧資源などあらゆるものを輸入に依存している日本としては円安による原油など輸入物価の
上昇による諸物価の高騰というマイナス効果の方が大きくなって来ているのでる。従ってここ10年くらいの長きに亘って
1ドル100円以下の円高水準の中で頑張って来た日本経済が急激な円安になると一部の業種(自動車や電機、機械など)を
除けばそのマイナス効果の影響が大きくなり、既にガソリンや多くの食品が値上がりしている。

その上今年の4月から消費税をアップし、更に来年には又10%にまで上げようと安倍政権はもくろんでいる。その一方で
大企業が恩恵を受ける法人税は減税するという。庶民から取った税金を企業に還元し、そして早速経済界は自民党への献金を
検討し始めた。正に弱い者いじめのアベノミクスである。日本もアメリカ同様だんだんと格差社会になりつつある。
超金融緩和政策による円安誘導は株高というバブルを生み出し、株を持っている一部の富裕層だけが恩恵を享受し、一方では
円安によって輸入品や海外旅行費用はじめ、食料品などあらゆる商品の値上げが今後とも続くなど庶民の生活を直撃している。

元来円安政策というものは経済の禁じ手であるはず。円が安くなるということは国際社会における国の価値が下がることであって決して
歓迎すべきものではない。やっぱり強い円が日本にとっては望ましい。このまま円安が更に進めば輸入大国日本は大変なことになる。
我々庶民の暮らしも更に厳しくなる。海外旅行にも行けなくなる。国債も誰も買わなくなり、金利も上がるだろう。
それも一時的な円安でなくじわじわと長期にわたって円安が続くのではないかと心配している。なぜなら借金がGDPの230%もある国は
世界中どこにもない。その借金の利息を払う「利払い費」だけでも毎年25兆円ほど必要で、国の税収の半分近くがそれに消えるのである。
今回の急激な円安にはアメリカの利上げ観測があるという。アメリカは未だ健全である。片や日本は利上げなど永久に出来ない国になって
しまっている。1%利上げすればそれだけで借金が10兆円以上増える計算になる。もうどうにもならない借金地獄に陥っているのである。
金融政策を担当する上で利上げが出来ない構造になってしまえば打つ手は限られ、危険な水域に入りつつある。日本国民はもうずっと前から
ゼロ金利を強いられ、本来なら得られた利息収入は全て国策によって召し上げられたのである。これは言い換えれば税金として納めたのと同じ。

先ごろ政府が来年度予算の各省からの概算要求案をまとめた結果約100兆円だったそうである。税収が50兆円くらいしか無いのに
どうしてこんな予算になるのか。いつまで赤字国債の垂れ流しを続けるのか。アベノミクスは破綻に向かっているとしか言いようがない。
何故ならこんな状況下にあっても安倍政権の中枢の誰一人「財政債権、歳出改革」を唱える人物がいない。それでいて支持率が上がるとは
不思議な国である。早く憂国の政治家が出てきてほしい。今すぐに。