監督:北野武
出演:吉行和子 宝田明 内田有紀 木村佳乃 松坂慶子 ビートたけし 江守徹 岸本加世子 鈴木杏
『監督・ばんざい!』、映画館で観ました。
映画監督のキタノが、得意ジャンルのバイオレンスを封印すると宣言した。その後、
彼はラブストーリーやホラー、SF、時代劇など思いつくまま新作の企画を練るが、
そのたびに何らかの理由で製作中止になってしまう‥‥。
「難解こそが芸術なり」みたいな映画は好きじゃない。ただ、この映画の場合は
“難解”だというよりも、“監督北野武の苦悩”をそのまま映像にしただけのこと。
本当は分かり易いくらいシンプルな映画なのかもしれない。
さて、改めて繰り返しになるが、ここでの監督キタノは迷っている。一流監督たる者、
“当たる映画”を撮るべきか…、はたまた、“評論家ウケする映画”を撮るべきか…。
マンネリから脱却するため、得意のギャング映画は封印し、あれもダメ、これも
ダメと色んなジャンルの映画に手を出しては挫折する。いや、見方を変えれば、
新作を断念する度毎に、その分身ともいえる北野人形に“自殺”させてしまうのは、
北野武の“自己破壊”とも受け取れる。ふと気が付けば、これまで“映画監督”として
築き上げてきた地位や名声が、今は逆に“重し”となって、観る側に“北野作品は
こうあるべき”と、変な先入観で縛られる。まるで、今作の北野武は、そのイメージを
一旦叩き壊し、改めて“新しい北野武”を再構築させるための作業のように思えてくる。
映画終盤、風呂場で丸焼けとなり、《超合金のロボット》が壊れ、そこから転げ落ちた
監督キタノに、詐欺師の娘が言う、「あの人と結婚したい」と。それは監督キタノが、
過去の呪縛から解き放たれ、心に付けた《鉄の鎧(=ロボット)》を外した瞬間だったに
違いない。結局、これは北野武にとって“自分探しの映画”なのだ。生から死へ…、
栄光から挫折へ…、人生をひとつの旅として、その心の放浪を描いた、一種の
“ロードムービー”かもしれないね。
一方、ラストの解釈は様々だろうが、北野武はこれまで以上に周囲を気にせず、
本当に撮りたいものを撮り続ける、“自身のやりたい放題”に対する永久宣言
のように感じられた。ならば、問題のギャング映画は‥‥??、まぁ、彼の性格からして
絶対撮るでしょう(笑)。オイラもあまりにエグいのじゃなかったら応援します。
でも、今作みたく“古典ギャグの連発”はチョットねぇ‥‥、観ていてスッカリ
引いちまったヨ(笑)。“笑えないコメディ”って、正直キツイよなぁ。
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