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『ゴッドファーザー』、観ました。

2007-05-30 22:03:31 | 映画(か行)





監督:フランシス・フォード・コッポラ
出演:マーロン・ブランド、アル・パチーノ、ジェームズ・カーン 、ジョン・カザール 、ダイアン・キートン 、ロバート・デュヴァル

 『ゴッドファーザー』、観ました。
初夏の昼下がり、シチリアからアメリカに渡って一大組織を築き上げたマフィアの
ドン、ヴィトー・コルレオーネの長女の結婚式が行われていた。ドンには3人の
息子がいたが、彼のお気に入りの三男マイケルは、父の稼業を嫌って堅気の道を
歩こうとしていた。しかし、敵対する組織にドンが銃撃されたことから、マイケルは
暗黒の世界に足を踏み入れる決意をする‥‥。
 もしも、この映画の成功がなかったら、現在(いま)のハリウッドはまったく
違うものになっていたに違いない。作品から滲み出す圧倒的な風格、印象的な
深い陰影の映像美、重厚なドラマ性と、ニーノ・ロータの哀切なメロディーが
重なり溶けていく悲劇性、そして…、スリル。しかも、それらすべてが一対を
成し、“超一級のエンターテイメント”として成り立っている。極端な話、誰が
どの方向から観ても楽しめる、まさに“70年代ハリウッド”を象徴する大作だ。
 さて、今回改めて観直してみて、『ゴッドファーザー』とは、“家族のドラマ”だと
思った。“家族と、その崩壊”を描いた作品だ。その、“マフィアの世界”という
フィルターを通して描かれる《家族》とは、仁義とか、礼儀とか、掟とかが、
双方の“信頼”の名のもとに“組織(=ファミリー)”を形成している。そして、
その(ファミリーの)、もう一歩中に入って見てみれば、ドン・コルレオーネと
その一族の子供たち‥‥、意外なほどに“理想的な家族の姿”が見えてくる。
厳格だが、何より自分の家族を大切にする父に支えられ、その3人の子供たちも
また、そんな父を慕い、それに愛で答える。しかし、当初は平穏無事に思われた
“一家の幸せ”が、父への銃撃事件を境に急変する。父という精神的支柱を失い、
ファミリーの“築き上げた帝国”は崩れ始め、同時に“家族の絆”も揺らいでいく。
ただ、ここでミソとなってくるのが、ドンが最初の子供として“養子”にし、現在は
“組織のアドバイザー”を務めているトム(ロバート・デュバル)の存在だ。実の父を
撃たれた怒りから“家族の復讐”を優先する跡継ぎの長兄ソニーに対し、トムは
“家族の一人”としての気持ちと、“組織の一員”としての利益と、その両者を
同時に見ることが出来る“特別な位置”にいる。言い換えれば、彼こそが映画の
キーパーソンとなる人物であり、もしも彼がドンを継げる立場にあったなら、
その後の“一家の崩壊”はなかったと、ボクはそう考えている。
 では、次に、もう少し“大きな視点”でこの映画を考えてみる。これまで色々
“2つの家族”について書いてきたが、実はここには“別の、もう一つ家族”が
存在する。それは“多くの移民たち”が集まって巨大国家を形成する、“アメリカ”
という大きな家族だ。しかし、観ていく過程で、その大きな繁栄の、一歩裏に
足を転じれば、(ベトナム)戦争、汚職(警官)、銃社会、麻薬など…、“失墜”への
暗い影が忍び寄る。映画中盤、ドン・コルレオーネの元に外部のソロッツォから
麻薬の取引を持ち掛けられた時、彼が断固として首を縦に振らなかったのには
理由がある、「確かに、麻薬は金になる。しかし、私が麻薬に手を出したと知れば、
今付き合いのある政治家たちが逃げていく」と。お金よりも《信頼》を…、そして
何より、自身の《孤立》を避けたその発言は、個人よりも“家族としてあり方”を
問うと共に、世界を“家族”として見た時の“アメリカ自身”に向けられている
ように思えて仕方ない。
 それにしても、“人生の終わり”はいつも残酷だ。そこにかつて地位と権力を
欲しいがままにした豪腕の姿はなく、みすぼらしい身なりの老人が人知れず静かな
最期を遂げていく。すでにその時点で、本来の後継者であるはずの長男ソニーは
なく、残った三男のマイケルが、新しいリーダーとしてファミリーの再建を図って
いくことになる。映画終盤、(赤ん坊が神の子として新しい生命を与えられる証
とする)洗礼式と、血生臭い銃撃による暗殺シーンがカットバックで挿入され、
観る者に“新ゴッドファーザーの誕生”を強烈に印象付ける。ただ、一見、敵対する
ファミリーを壊滅させ、権力を奪回したかのように思えるが、ボクはここでひとつ、
釈然としないものが残った。同時に、その時マイケルは、父とは違う、大切な何かを
失ったのでないか。つまり、不戦の紳士協定を自ら破ったことで、父がこれまで
築き上げてきた“信用”を失くしたのだ。更に、それはラストシーンでも象徴的に
浮かび上がってくる。ついに妻までもがマイケルに“殺人者の疑い”を掛ける中、
それでも彼はこう然と自らの潔白を主張する。それに安心し、立ち去る妻。しかし、
次の瞬間、マイケルの部屋の扉が冷たく閉ざされる。それは、夫婦の信頼が
遮断され、父の時代には繋がっていた《2つの家族》…、一族の絆と、ファミリーの
結束が切り離された瞬間だったのだ。



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2 コメント

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くたばれ!ハリウッド (もうり)
2012-10-14 20:38:54
お久しぶりです。もうりです。最近の映画も勢力的にみているようですね。私はここ数年の映画では「麦の穂をゆらす風」という映画がよくできているなぁという感想をもっています。ところで、「くたばれ!ハリウッド」という映画を借りてみたことはありますか?映画が好きでなければあまりわからない映画だと思いますが、映画が好きな人にはよくわかる映画だと思います。今までみた映画が、違った視点からみれて、参考になるのではないでしょうか?「ある愛の詩」「ローズマリーの赤ちゃん」「ゴッドファーザー」「チャイナタウン」など、一度はみたことある映画がどのようにできたかがわかり、おすすめです。一度、ご覧になってみてください。
Unknown (きのこスパ)
2012-11-03 14:29:55
> もうりさん

久しぶりです。コメント、感謝です。
「くたばれ!ハリウッド」、覚えときます。
今度、機会があれば観てみます……てか、
最近ご覧のとおり、ブログ更新が滞ってるのは、
今度、初のマラソン大会に出るので
日々練習に励んております。
おかげで今日なんぞは、ちょっと膝が痛い(汗)。
それでも、何とかブログも月一本程度の更新は
頑張っていきたいと思うので、今後共よろしく。

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