出演:ジェイミー・フォックス, ビヨンセ・ノウルズ
『ドリームガールズ』、映画館で観ました。
60年代から70年代のモータウンサウンド隆盛期。仲のよい友人同士で作った
女性ボーカルグループ“ドリーメッツ”。彼女たちは歌で成功するために、毎夜
オーディションに出場していたが落選続き。そんな彼女たちを、カーティスという
男が目を付けた。やがて、人気歌手ジミー・アーリーのバックコーラスを務めた後、
“ドリームガールズ”としてデビューを果たすが……。
硫黄島の激戦も…、9・11のテロ事件も…、後世に語り伝えなくちゃいけない
大切なことだとは、確かに思う。だけど、こうも…人が死んでいく映画ばかり
見せられちゃ、気分がどんどん滅入ってくる。やっぱりさ、映画は「銀幕」って
いうくらいだから、せめて少しでも“輝き”が欲しい。そういう意味じゃあ、
この『ドリームガールズ』は、オイラに待望久しい“夢の世界”ってやつを
思い出させてくれた。黒人女優ビヨンセ・ノウルズの“悪魔的な美しさ”に見惚れ、
ジェニファー・ハドソンが放つ“迫力の歌声”に聴き惚れ、華やかなステージと
絢爛豪華な衣装の数々に溜め息をつく。おっと、それから忘れちゃいけない、
ありったけのソウルを発散させてシャウトするエディ・マーフィ、そのヤバい
腰の動きもサイコーだぜ(笑)。それを観ながらオイラは痛感し、観終わった
後に確信したことがある…、やっぱりオレはハリウッドの、それも“輝ける
ミュージカル映画”が大好きなんだ、ってね。
ただし、映画はそんなアメリカン・ショービジネスの華やかさだけじゃない。
その裏側で渦巻く陰謀と裏切り、その世界で頂点を目指す者たちの栄光と
挫折など…、改めて、現実の厳しさも見せ付けられることになる。しかも、ここで
皮肉なことは、その厳しい現実に打ちのめされ、敗北を味わった者こそが
結果的に強くなり、一方で夢を掴み、巨富を手にした者が、それによって愛を
手放し、多くの友を失っていく。まさに、それは目映(まばゆ)いスポットライトの
世界の表裏(ひょうり)として描かれる“人生の孤独”‥‥。なのに、不思議だ。
その光と影のコントラストを知ってなお、一層この世界に惹かれていく。多分、
それは“映画”も同じ。映画館の暗闇の中に浮かび上がる銀幕のように…、
光と闇の美しさが互いに反発しながら共生する、そんな場所だからこそ人々を
魅了してやまないのだ。