『サウンド・オブ・サンダー』、観ました。
2055年、タイムトラベルが可能になり、大手旅行代理店タイム・サファリ社では、
6500万年前にタイムトラベルし、恐竜狩りを楽しむという画期的なツアーが人気を
集めていた。だが、“僅か1.3gの何か”を過去から持ち帰ってしまったことで、
生態系進化に異変が起きる…。
アラを探せばキリがない、細かいことを言ったら朝までかかる。穴だらけ
“タイムマシン理論”に、今どき子供でも騙されない“タイムウェーブ(時間の
波)”のナンセンスな発想まで‥。いや、もはや“開き直り”とも受け取れる
“科学的根拠のない妄想”を、ここまで信じ、徹底できれば御立派なもの(笑)。
植物は巨大化し、昆虫は凶暴化し、動物は恐竜化する。でも、人間だけは…。
しかも、それが白亜紀にすむ一匹の〇〇を殺したことで生じた“進化の歪み”だと
いうのだから、全くもってアメリカ映画の発想は強引過ぎる、スゴ過ぎる(笑)。
だったら、歪みが生じたその時、その瞬間に、今の我ら(人類)は消えてなくなる
筈なのに、そこは一切お構いなしに、次へ次へと映画は進む。まるで、映画の
中で起こりくる“時間の波(タイムウェーブ)”が、そのまま観ているオイラに
押し寄せる“ご都合主義の大波”のようにも思えてくる(笑)。
それにしても、“室内撮影”が丸分かりなほどの安いセットと、いつもにも
増して遠近感がなく、平面的でアニメチックなCGは、もうチョットで良いから
何とかならなかったのかい??(笑)、思うに、この映画で最大の失敗は、
作り手側が手持ちの(デジタル)技術力と資金力を冷静に考えないまま、難度の
高過ぎる古典SFの題材を選んでしまったこと。彼らのその行為は「あくなき
チャレンジ精神」といえば聞こえは良いが、裏を返せば、後先(あとさき)を
考えずに突っ走った後の“無謀な自殺行為”とも言える(笑)。ただ、ひとつ
断わっておきたいのは、だからと言って、オイラがこの映画を苦々しく思って
いる訳ではなく、むしろ、この上なく愛らしく、存分に楽しめた映画であるのは
間違いない。もちろん、それは“SF映画”としての面白さではなく、コアで
チープな“B級映画”のソレとしてね(笑)。