肯定的映画評論室・新館

一刀両断!コラムで映画を三枚おろし。

『題名のない子守唄』、観ました。

2008-06-12 20:15:16 | 映画(さ行)





監督:ジュゼッペ・トルナトーレ
出演:クセニア・ラパポルト、ミケーレ・プラチド、アンへラ・モリーナ、マルゲリータ・ブイ、クラウディア・ジェリーニ

 『題名のない子守唄』、観ました。
心に深い傷を負い、過去に囚われたままの女イレーナ。今の彼女を支えている
たったひとつの願い。それは生き別れた自分の子供を見つけだすこと。東欧の
国から、ふたたび悲しい記憶にまみれたイタリアに舞い戻った彼女は、素性を
隠して、ある裕福な家族のメイドとなり、やがてその家の一人娘テアとの間に
ほのかな愛情を育んでゆく。しかしイレーナの心に秘めた想いは、忌まわしい
過去からの魔の手によって掻き乱されていく‥‥。
 これがジュゼッペ・トルナトーレ(監督)の作品とは信じられない…、いや、
信じたくない。インモラルな性の描写に、血しぶきや、思わず目を覆いたくなる
暴力シーンもちらほらと。あの、ノスタルジックで、母の膝に抱かれているような
心地良さ(安心感?)…、それでいて、胸が詰まるほどに切ないトルナトーレは、
一体どうしてしまったの??、勿論、ストーリー展開等は相変わらず巧みで、人物も
脇役のひとりひとりまで丁寧に描かれているのだけど、およそ“らしくない”
過激描写とのギャップに、やはりオイラは戸惑いを隠せない。一言で言って、
(トルナトーレの作風とは)相性が悪い。この映画、いつものトルナトーレ(?)を
期待して、まだこれから観るという人には、かなりの心積もりを必要とするかも
しんないね。
 さて、『ニューシネマ・パラダイス』しかり、『海の上のピアニスト』しかり、
『マレーナ』しかり、トルナトーレ作品に共通するテーマとして、“過去”から
“現在(いま)”に至る《人生の時間》が根幹にあったと思うんだ。そして、それは
今作の『題名のない子守唄』も同じ…。ただし、大きな相違点として、これまでの
作品に描かれていた“過去”が、どこか“寓話的で輝けるもの”だったのに対し、
この映画における過去は、まさしく“悪夢”でしかない。しかも、それが断末魔の
記憶となって蘇り、振り払っても振り払ってもすがり付き、黒い影のように
憑り付いて離れない。恐らく、トルナトーレからしてみれば、これまでとは
“逆のアプローチ”から、人生における過去と人生の繋がりを描こうとしたのでは
なかろうか。また、ヒロインが街外れのゴミ捨て場から恋人の死体を見つけ出す
場面では、名作『灰とダイヤモンド』を彷彿させる一方、彼女の、その絶望に
満ちた“掃き溜めの人生”を象徴しているんだろう。まぁ、映画のラストこそ
一筋の希望の光が射すものの、全体を通して不快なものを見せつけられ、
あまり心に響くものはない。ぶっちゃけ、一刻も早くこのレビューを書き上げて、
次の映画に進みたいというのが、今、オイラの正直な感想かな。



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