肯定的映画評論室・新館

一刀両断!コラムで映画を三枚おろし。

『さくらん』、観ました。

2007-08-18 21:17:05 | 映画(さ行)





監督:蜷川実花
出演:土屋アンナ 、椎名桔平 、成宮寛貴 、木村佳乃 、菅野美穂 、永瀬正敏

 『さくらん』、観ました。
8歳で吉原遊郭の玉菊屋に連れて来られた少女・きよ葉は何度も脱走を図るが
あえなく失敗。気位が高く、絶世の美しさと知性を兼ね備えた完璧な高級花魁
(おいらん)・粧ひは、そんなきよ葉に花魁としての生き方を教える。やがて
17歳になったきよ葉は、玉菊屋にやって来た青年・惣次郎と恋に落ちるが……。
 画面から“美の洪水”が溢れ出す‥‥。その、息を呑むほどの映像は、もはや
“リアリズム”とは掛け離れたところでデザイン化、あるいは様式化され、“新感覚の
日本美”を追求する。それは、金魚が泳ぐ水槽をあしらった吉原の大門や、襖や
障子に施された斬新絵柄と色使いに象徴され、そして、遊郭の女郎たちが身に
まとう煌(きら)びやかな着物の数々、呆気に取られる日本髪スタイルや、前衛的な
部屋の装飾に至るまで…。今更ながら、この映像美を(DVDではなく)映画館の
大スクリーンで体験出来なかったことを悔やむとともに、これほどの異彩を放つ
才人が、まだ日本に居たことへの驚きが同時に湧き上がってきた。
 では、監督の“蜷川実花”とは、一体どこの何者ぞ??、聞けば、何と演出家・
蜷川幸雄の娘さんで、世界的に有名な写真家だという。そんな彼女にとって、
これが初監督作品になるわけだが、時として“この手の美術監督(?)”が陥り易い
失敗例は、凝り過ぎたヴィジュアル面だけが先行し、肝心のストーリーの方が
それに追っついていかないまま、映画のバランスが崩れてしまうこと。ただ、
この映画の場合は、幻想的な空間に“寓話的なストーリー”が上手くハマっていて、
特に目立った違和感は感じない。その試みは概(おおむ)ね成功しているように
感じた。一方、ヒロイン役の土屋アンナの存在感は、それら並みいる映像美にも
負けないほど…。スケールの大きさと、生の活力を感じさせる。だからこそ…、
狭い鉢の中で泳ぐ金魚で終わることを拒否した“ヒロインの決断”に、確かな
説得力が生まれてくる。そして、映画の結末はハッピーエンド‥‥??、いや、
果たして本当にそうなのか。ボクは、そんな彼女をイプセン著「人形の家」の
主人公ノーラと重ね合わしながら、その前夜に子供が見た“不吉な夢(ヒロインの
死)”のことが心のどこかで引っかかる。ラストシーン、旅立つ2人の行く手には
満開の桜並木が広がっている。しかし、その向こう側で彼らを待ち受けるものは
何なのか…、知りたい気がしない訳ではない。



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