肯定的映画評論室・新館

一刀両断!コラムで映画を三枚おろし。

『ヒトラーの贋札』、観ました。

2008-09-13 15:47:00 | 映画(は行)





監督:ステファン・ルツォヴィッキー
出演:カール・マルコヴィクス、アウグスト・ディール

 『ヒトラーの贋札』、観ました。
第二次大戦中のドイツ。ユダヤ人強制収容所の一画に、各地から集められた
職人らが働く秘密工場があった。パスポートや紙幣の偽造で逮捕されたサリーは、
そこでかつて自分を逮捕したヘルツォークが、大量の贋ポンド紙幣をばら撒き、
イギリス経済を混乱させる目的の「ベルンハイト作戦」の指揮を執っていることを
知る。作戦が成功すれば家族や同胞への裏切りになる。しかし完成できなければ、
死が彼らを待っているのだった…。
 公開当時から気になって仕方ありませんでした。ヒトラー&贋札っていう、
一見奇妙にみえるコラボレーションにたまらなく興味を惹かれたのです、ハイ。
でも、みたら何てことありませんでした。普通の映画でした。以上、おしまい。
意外と味気ないですね。そんなもんです。日々の仕事に追われ、時間の無い人は
ここまでで結構、以下は読む必要ないです。でも、特にやることもなくて時間の
有り余ってる人のためにもう少し書きましょうか。そうします。
 じゃあ早速、どうぞ頭で『シンドラーのリスト』と『戦場のピアニスト』を思い浮かべて
下さいまし。あ、でも、あーいった大作ではなくて、そのスケールをぐっと小さくした
感じでお願いします。いわゆる、両者を足して2で割ってミニシアターで収まる
サイズにした、そう思って差し支えないです。途中、ユダヤ人の主人公がナチとの
パイプライン役を買って出て、仲間を擁護(ようご)する展開は『シンドラーの~』。
また、ラストの終戦と同時に、ナチとユダヤ捕虜の立場が逆転し、戦争の勝敗に
よって強者と弱者が決まってしまう下りは『戦場のピアニスト』のそれ(ラスト)を
彷彿させます。まぁ、(オイラの勝手な印象ですが)反戦映画全般にいえるのは、
とりあえず『戦場のピアニスト』で一段落ついてしまった感があって、結果として
それ以降の反戦映画は目先が変わっているだけで、その根幹となる部分に大きな
違いはないのかな、って。ここでは“贋札”っていうファクターを使っていますが、
主人公の持つ画家(芸術)の才能を、ナチ(戦争)に悪用されるのはこれまでの
反戦映画にもありました。描き方自体、特に目新しいものではないです。それに
我ら日本人からすれば、何とかいう隣国の…、何とか言う書記長が…、現実に
同じようなことしてますものね。なら、いっそのこと、タイトルを『総書記とニセ札と
ニセ煙草とニセ麻薬』くらい過激にしてもらわないと。おっと、その噂の主のヤッコさん、
現在あまり病状がよくないみたいですね。不謹慎なんで、この辺でやめときます。
失礼しました。お大事に。話を映画のヒトラーに戻しましょうか。つまり、ここは
正攻法で“ナチの暴虐ぶり”を描くのではなくて、もう一捻りあっても良かったって
思うのです。例えば、ヒトラーも(主人公と同じ)“画家志望”だったことを考えると、
両者の人生をシンクロさせたり、対比させたりしながら“戦争の本質”に迫ることも
出来たのにね。まぁ、こうして、レビューの最後まで長々と付き合って頂いた
アナタ様のことですかあら、お暇に任せて(?)この映画を観るのも良いでしょうよ。
ただし、インパクトのあるタイトルほどへヴィーな内容を期待しちゃいけません。
良くも悪くもサラッと観れちゃって、あまり印象には残りませんから。



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1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
bbさんへ (きのこスパ)
2008-11-08 22:33:31
> bbさん

コメント、ありがとうございます。
ただし、貴方のコメントには“悪意”が感じられたので削除しました。

つまり、貴方のコメントを要約すると、こういう事ですね。
真実は小説より奇なり――
この映画は“真実”を伝えてる。そこをまず評価すべきだ、と。

貴方が仰ることは分かります。
でも、果たして本当にそうなのでしょうか。
“映画の本質”とは、「真実を伝えること」なのでしょうか。

ボクは、映画とは“芸術”だと思っています。
映画は、TVのニュースでもなければ、報道番組でもありません。
ボクは、それが“映画”である以上、
その見せ方・描き方に拘って欲しい。
“戦争”が悪だということは誰でも分かっています。
映画では、それをどういう視点で描くかが大切だと思うのです。
ボクには、この映画が“過去の反戦映画のスタイル”をコピーしているだけで、
最後までそこに“作家のオリジナリティ”を見出す事はできませんでした。

例えば、黒澤明監督は晩年の代表作『影武者』で、
実話に基づいた戦国絵巻を展開させながらも、
そのラストで当然在るべきはずの“長篠の合戦シーン”をすべてカットしました。
それは戦闘の後に残った“死体の山”を際立たせるためでした。
それによって『影武者』は、『七人の侍』を期待したファンから大きな批判を受けました。
しかし、ボクはそれこそが“黒澤明の黒沢明たる由縁”だと思っています。
少なくとも、ボクはそういう映画が好きです。

最後に、
もしも、貴方がこの『ヒトラーの贋札』に深く感銘を受け、
ボクのフザけたレビューを読んで不快に感じたのなら謝ります、
すいませんでした。
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