肯定的映画評論室・新館

一刀両断!コラムで映画を三枚おろし。

『エイリアン/ディレクターズ・カット』、観ました。

2012-01-24 16:04:18 | 映画(あ行)

監督:リドリー・スコット
出演:シガーニー・ウィーバー、トム・スケリット、ジョン・ハート、ベロニカ・カートライト、イアン・ホルム

 『エイリアン/ディレクターズ・カット』、観ました。
地球へ帰航中の宇宙貨物船ノストロモ号。そのメイン・コンピュータ“マザー”が、
発信者不明の通信を傍受し、突如コースを変更する。知的生命体に関することは
最優先で調査せよという、雇い主である会社からの至上命令に6人の乗組員たちは
否応なく従う。未知の惑星に着陸し、調査を開始したケインは異星人の化石を
発見するが、謎の生物に襲われる。同じ頃、船で待機するリプリーは通信内容が
S.O.Sではなく警告らしいことを突き止めるのだが…。
 ホントーにしばらくぶりにこの『エイリアン』を鑑賞し、“ディレクターズ・カット”
なるものが存在することを知ったワケだが、オイラは“オリジナル”の方を
支持します。さて、今回追加されたのは、映画クライマックスで宇宙船爆破の
カウントダウン最中、エイリアンによって捕らわれの身(繭?)となったクルーらを、
リプリーが見つけ出すシーンだ。確かに興味がそそられ、お蔵にするには
惜しい気がするが、確かそこでは一分一秒を争う切迫した場面だった筈、
それによって映画を通しての緊張感やスピード感が失速してしまった感は
否めない。 そもそも、オリジナルの完成度が高く、現在(いま)をもって手直しする
箇所がないことは、リドリー・スコット本人がDVD冒頭にて語っています。
思うに、 本バージョンは“完全版”、あるいは“最終形”とは受け取らずに、
マニア向けの “コレクターズ・エディション”くらいに考えた方が良さそうだ。
 ここらでオイラのマメ知識(?)をご披露すると、何とエイリアン本体は男性の
生殖器をモチーフにデザインされたそうで、それが“欲望”とか“本能”のままに
ヒロイン(女性)を追っ掛けまわすという、とんでもない映画だそうな(笑)。
ともすると、その、強姦を連想させる両者、すなわちエイリアンとヒロインだけに
目がいってしまいそうだが、この映画の秀逸さは別のところにあるとオイラは
睨んでいる。それは、宇宙船という“空間”の使い方だ。復習してみよう――、
宿主の腹を食い破って小型エイリアンが宇宙船内部へ解き放たれた。当初、
クルーらはそいつを捕まえうとするが、“巨大な宇宙船の広さ”が災いして
見つけられない。やっとこさ、“狭い通風孔”に追い込んだのも束の間、状況が
激変する。エイリアンを追い詰めたつもりが、実は自分達の方が追い詰められた――、
そこで現実を思い知る事になる。その刹那、“攻守”が入れ替わる。今度は
エイリアンが(人間を)狩る番だ。すると、絶望的に広く感じられた船内が一転、
猛獣と一緒に“狭いオリ”へ閉じ込められたような“閉塞感”に覆われる。オイラは、
サスペンス映画が好きでよく観ているが、これほど“空間”が効果的に使われ、
更に“攻守の切り替え”が鮮やかに決まった例は、この作品を除いてほとんど
思い浮かばない。『エイリアン』が“SFのバイブル”的存在になったのは、
H・R・ギーガーによるグロテスクでありながら神秘的な(SFの)世界観と、
リドリー・スコットによる“サスペンスの緊迫感”が非常に高いレヴェルで融合し、
結集された賜物だろう。「あの頃の映画にしては面白かった」では済まされない
SFだ。それは時が経っても色あせない。

 

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