つぐないジェネオン エンタテインメントこのアイテムの詳細を見る |
監督 ジョー・ライト
出演 キーラ・ナイトレイ、ジェームズ・マカヴォイ、シアーシャ・ローナン
『つぐない』、観ました。
1930年代のイギリス。政府官僚の娘セシーリアは、身分の違いを越えて、使用人の
息子ロビーを愛していた。だが、2人の愛は多感な妹ブライオニーのついた嘘によって
引き裂かれてしまう。やがてロビーは戦場の最前線に送り出され、セシーリアは
ロビーの帰りをひたすらに待ちわびる。ブライオニーが自分の罪の重さに煩悶する中、
3人の運命は、時代の流れに呑み込まれていく…。
これまであまり目にしたことのない、新しいタイプの大人のラブストーリーか。
前半部分はやわらかく、洗練された映像の中、上流階級の純愛ドラマが展開され、
一転、後半では重苦しい、戦場での現実が襲い掛かってくる。ある出来事をさかいに
人生が暗転し、明と暗に分かれていく。その、くっきりと浮かび上がる“人生の
コントラスト”が無常にも世界を照らし、何ともやりきれない気持ちにさせられる。
個人的には今年不作の洋画にあって、一際重厚な人間ドラマを味わった。と同時に、
強く情感に訴えかけられる作品だった。
まず、本作で大いに感心させられるのは、綿密に練り込まれた脚本と斬新な構成の
秀逸さだ。現在と過去、現実と空想――、ここではそれらを巧みに交錯させながら、
ミステリアスな展開で進んでいく。勿論、この種の技法は『シックスセンス』やら
『ビューティフル・マインド』やら、はたまたその他タランティーノの映画などで、
あるにはあった。しかし、今回はそれをサスペンス映画でもなく、犯罪映画でもなく、
文芸風の純愛ドラマに活用したのだから驚きだ。作る方もかなりの勇気がいったこと
だろう。今にして思えば、“ラストの、真実”に至る過程で、すでに様々な伏線が
散りばめられていて、少女が蜂の飛ぶ窓を眺める“プロローグ”から緻密に計算
されていたことを知る。いや、だからと言って、この映画が単に鮮やかなプロットを
みせたいがだけの映画とは思って欲しくない。いみじくも少女の心の未熟さが招いた
小さな過ちが、彼女自身を含めた男女3人の人生までも大きく狂わさてしまう“運命の
残酷さ”――。そして、もう引き戻せない過去と、絶望の現実の中で、少女が自らに
課した“罪と罰”――。その苦しみの深さを知る毎に息苦しく、積み上げられた時間の
重さが観る者の心へと圧し掛かってくる。
では、逆の視点からみれば、どうだったんだろう。人生を狂わされた側の、男の
気持ちは??、映画でボクが忘れられない台詞がある。物語終盤、戦場を彷徨う男が、
最愛の女性に当てた手紙の中の一節だ。《僕は、戻る。そして、君に会い、君を愛し、
君と結婚し、汚名をきせられた人生を、生きる》と。そこには、少女に対する怒りや
憎しみはない。どんな形でも自らの人生を受け入れ、“愛する女性への想い”だけが、
彼の、生への根源になっているように感じられる。それからも分かるように、結局、
少女は二人の世界に割って入っていけなかった。二人の愛を遠くで見ているだけの
自分が辛過ぎたんだ。多分、この悲劇は誰のせいでもない。“少女の、最後の優しさ”が
溢れた結末をみるにつけ、心からそう思う。
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