肯定的映画評論室・新館

一刀両断!コラムで映画を三枚おろし。

『シッコ』、観ました。

2007-08-28 21:38:03 | 映画(さ行)
Sickoposter
監督:マイケル・ムーア

 『シッコ』、映画館で観ました。
ドキュメンタリー監督マイケル・ムーアが、4700万人の無保険者だけではなく、
保険料を支払っている数百人にもマイナスの影響を及ぼすアメリカの医療システムの
実態を明らかにする。 カナダ、イギリス、フランスを訪れ、国民全員が無料医療の
恩恵を受ける国の事情を見つめながら、アメリカの混乱した医療制度を浮き彫りに
していく‥‥。
 “ドキュメンタリー映画”と“メッセージ映画”の性格を併せ持ちながら、同時に
“極上の娯楽映画”としても成立する。いや、それにもまして、コイツは《アメリカ
医療保険の現実》をまざまざと見せ付けられた“今年最強の恐怖映画”でもある。
映画は、いつもの如くマイケル・ムーア監督が、およそ健康体とは言い難い(?)
その巨体をゆすって直撃取材を断行。彼ならでは視点と切り口で、アメリカ医療
制度の暗部に鋭いメスを入れていく。このドキュメンタリー映画の面白さは、アメリカの
医療制度という身近にあって“切実な問題”を扱っているにもかかわらず、それを
分かり易く噛み砕きながら、コミカルとシニカルとがバランス良く配分されている点だ。
また、患者の立場や現場にいる医師の証言、欧州諸国とアメリカの医療制度の
比較、さらに歴史的事実を踏まえた上で(←チョットうさん臭い感じはするが(笑))、
各方面から立体的に“この摩訶不思議な制度”について言及しているのも興味深い。
 それにしても、知れば知るほど“アメリカの医療保険”というものが分からなく
なっていく。人の命を救うための制度であるはずが、いつしか患者の自由を奪う
“足かせ”となり、結果としてその制度が人の命を奪うという“矛盾”に突き当たる。
だとしても、世界屈指の先進国で、超大国であるはずのアメリカだけが、何故??、
どうして??、結局、大手の保険会社がその利益を追求するあまり、政治家を
抱き込み、医師さえ操り、弱者の“当たり前の権利”さえ蔑(ないがし)ろにする。
例えば、映画でそれを象徴する場面がある、隠居生活さえままならず、バカ高い
薬を買うために今も働き続けるアメリカの老人はいう、「(現在の生活は)まるで
“アリ地獄”だ」と。ならば一体、いつからアメリカ人は、そんな弱い者イジメの
冷血漢になってしまったのか。いや、そうではない筈だ。だって9・11では、あんなにも
国全体がひとつになり、哀しみに暮れた国民同士で励まし合ったじゃないか。
そして、その時、ボクははたと気付いたんだ。何もマイケル・ムーアは、アメリカの
医療制度だけを取り沙汰して、能書きを並べているんじゃない。もっと根本的な
問題として、強き者が弱き者へ…、持つ者が持たざる者へ、温かい救いの手を
差しのべる。今こそ敵も味方も、強者も弱者も関係なく、力をひとつに合わせるとき
なのだと。本来、人は誰しも“平等な医療を受ける権利”がある。勿論、それは、
社会主義的思想の賞賛ではなく、共産時代の幕開けなんかでもない。人が人で
あるために‥‥。大切なのは、助け合いの精神と、相手を思いやる精神なんだ。


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1 コメント

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Unknown ()
2007-09-04 01:43:53
初めまして☆わたしも映画みました。あれが日本の未来です。みんな「小さな政府」が税金のむだを無くすという詭弁にだまされています。例えば、郵政民営化はアメリカが日本の国の資産を奪う為の要求で売国です。げんにニュージーランドフランスなど世界各地で失敗し国営に戻り、英のブレア首相は世界で日本だけが逆行してると指摘。郵貯は外資に流れます。昔りそな銀行を小泉さんが救ったとみせかけ外資に儲けさせたのと同じ。なぜか関係者は亡くなったり国策捜査で世間の信用を失った。森田実「アメリカに使い捨てられる日本」等多くの本でマスコミの書けない年次改革要望書について書かれています。安倍さん小泉さん東京都知事の石原さんは、市場原理主義の政策で弱者や地方シカト、都市や富裕層だけが儲かるシステムです。最近のワーキングプアや地域格差はそういう考えによる規制緩和や民間にたくす政策が原因。格差はどんどんひろがり1割の金持ちと9割の貧乏で多くの人が働いても働いても報われない日が来ようとしています。政治や経済に理解がないために政府の圧力で歪んだ情報を流すマスコミに操られ、全く気づいてない国民が多すぎる。「国富消尽」「官僚とメディア」経済やメディア操作やグローバル化やアメリカの現状などの本を読んでみて下さい。そして、本当に国のために頑張ってくれる政治家を支持しましょう。失礼しました☆
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