肯定的映画評論室・新館

一刀両断!コラムで映画を三枚おろし。

『しゃべれども しゃべれども』、観ました。

2008-02-28 20:01:18 | 映画(さ行)





監督:平山秀幸
出演:国分太一、香里奈、森永悠希、松重豊、八千草薫、伊東四朗
※2007年度キネマ旬報・日本映画ベストテン第3位

 『しゃべれども しゃべれども』、観ました。
古典を愛する二つ目の落語家、今昔亭三つ葉。思うように腕もあがらず、悩んでいる
彼のもとに「落語を、話し方を習いたい」とワケありの3人が集まってくる。すこぶる
不愛想で口下手な美人・十河五月、大阪から引っ越してきたばかりでクラスに
馴染めない少年・村林優、毒舌でいかつい面相の元プロ野球選手・湯河原太一。
ひょんなことから話し方教室」を開くことになった三つ葉だが…。
 亡き黒澤明監督は、映画の大部分はシナリオとキャスティングで決まる、と言った。
本作『しゃべれども しゃべれども』は、まさにそれを証明する一本ではあるまいか。 
まず、配役について。実は、今にして言えることだが、観賞前の段階で、今回の
出演者陣にほとんど…、いや、全く魅力を感じられなかったのは事実。だって、
もはやアイドルというより(フィギュア)スケート番組の顔(?)といったイメージの
国分太一が主人公で、脇役陣を見ても、これまた最近はバラエティの常連になった
伊東四郎、それからモデルから女優になっても一皮剥けない香里奈嬢と、長らく
お久しぶりの八千草薫‥‥、いわゆる“〇〇〇崩れ”がズラズラ、ズラーッと(笑)。
そこにキラ星のように輝くオーラがあるわけでもなく、そこに安定した演技力を
求めるのにも無理がある。言葉は悪いが、何と時代遅れで中途半端なキャストに
映ってしまった。しかし、すぐにそれがオイラの考え違いである事に気付かされた。
観ていくうち、彼らだけじゃなく、そこに描かれているすべての登場人物が何と
愛おしく、その人間性に惹かれていく。しゃべれども、しゃべれども届かぬ想い…、
本当の自分を知ってもらえない者たちの哀しさ…。主人公演じるところの国分太一は、
(自らの)役者としての未熟さを受け入れた上で、そのすべてを曝け出したような
“一生懸命さ”が伝わってくる。伊東四郎は、コメディやバラエティ番組の経験で
培われた“懐の大きさ”を感じさせ、元祖癒し系(?)八千草薫は、今尚そこに
居るだけで周りを“やわらかい空気”で包み込む。また、物語を通して悪役らしい
悪役は登場せず――あえて言うなら村林少年のライバル宮田だが、その彼ですら
悪意をもって描かれていないのが嬉しい。観ていて清々しい気持ちにさせられた。
 それにしても感心されるのは、もはや現代人の我らにとって馴染みの薄い“古典
落語の世界”を分かり易く噛み砕き、人情味溢れる人間ドラマに仕上げた脚本の
秀逸さ。更に、落語の噺(はなし)をとって終盤への伏線へと繋げていくあたりも
よく考えられている。おっと、それから忘れちゃいけない、午後の陽射しの中をゆっくり
流れる船上でのラストシーンも――。好きだの、惚れてるだの一切言わないまま、
言い争う両者の言葉の行間に込められた胸のうち、考えてみればこの映画にして
コレしかない…、しかし同時に、意表をつかれた“口説き文句”だった。さすが東京の
下町が舞台だけあって、最後まで江戸っ子らしい“イキな台詞”で締めくくるよなぁ。





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