肯定的映画評論室・新館

一刀両断!コラムで映画を三枚おろし。

『バベットの晩餐会』、観ました。

2007-01-28 20:07:46 | 映画(は行)
Babetto
出演: ステファーヌ・オードラン, アイザック・ディネーセン

 『バベットの晩餐会』、観ました。
とあるデンマークの漁村に、亡き父の遺志を継ぎ、伝導活動を続ける老姉妹が
住んでいた。そこへ身寄りのない亡命者バベットが訪れ、老姉妹はバベットを
家政婦として雇うことに‥‥。時は流れて14年後、偶然にも手に入れた大金で、
バベットは老姉妹のために豪華な晩餐会を開こうと決意する‥‥。
 観終わって、“自分の良心”ってやつに気付かされる。それに“心の安らぎ”と、
今自分が居る“この世界の美しさ”にも。まぁ、そんな風に書くと、“神”だとか、
“信仰”だとか、説教臭いイメージを抱くかもしれないが、この映画に限って
そんなことはこれっぽちもないのだよ。物語は、ひっそりとしたデンマークの
寒村で、使用人バベットが老姉妹に対する“感謝の気持ち”を込めて晩餐会を
催(もよお)した、ただそれだけのこと。しかし、そこにはバベットの心が
通った料理の数々が並び、 その“温かな料理”に心癒されていく人々がいる…、
もはや余分な説明も台詞もいらない。春になって積もった雪が溶けるように、
緊張感で引きつった顔と顔とがみるみる笑顔でゆるんでいく。そんな彼らの、
“幸せそうな顔”を見ているだけで胸がいっぱいになった(涙)。人は誰でも
多くの財産を築き、大きな家に住み、高価な車に乗りたいと願う。しかし、
それは自分の見栄を満足させ、自分の満たされない心を隠すための外殻にしか
過ぎない。「本当の幸福」とは“豊かな心”を持ち、“豊かな時間”を過ごすこと
なんだね。
 更に、それに関連したことで、この映画ではもう一つ、目には見えない“心の
安住”について語っている。例えば、亡き父の教えと姉妹の人生、姉マーチーネと
若い士官ローレンス、あるいは、妹フィリパとオペラ歌手パパンの恋、バベットと
その母国フランスへの想い…、それらは肉体では離れながらも、心ではしっかりと
絆で繋がっている。それは、今回、映画を観終わるまでは、考えもしなかった
“幸福のカタチ”…。やっと今、ボクにもその感覚がほんの少しだけ分かる。
彼女たちは不幸じゃない、孤独でもない。だって、愛する人がそこに居なくても、
その人を愛し愛されている“確信”があるのだもの。そして何より、彼女たちは
人々に笑顔を与える喜びを知り、その人々の優しさに包まれているのだもの。
きっと、今も彼女たちは生きている、この広く美しい世界のどこかで…。何だか
そんな不思議な想像にかきたてられる・・・。

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