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【絵本から専門書まで】 塾講師が、生徒やご父母におすすめする書籍のご紹介です。

『ブッシュの戦争』 ボブ・ウッドワード

2006年09月11日 | 外国関連
チョムスキー が批判したアメリカの本質的な攻撃性。そのアメリカ政府がテロ後、どのような形で動いたのか、9.11テロ当日からアフガニスタン攻撃、そしてイラク攻撃へという流れの3ヶ月を生々しく描いています。アフガニスタン空爆は、2001年9.11テロからわずか一ヶ月ほどで実行されています。

本書は、2003年2月、今まさにイラク戦争が始まるのではという時期に、出版されました。雑誌や新聞の書評には 『最高の著者による最高のノンフィクション』 というようなことが書かれていました。

アフガン攻撃の前から、イラクなど多方面への攻撃を進めるラムズフェルド国防長官(ネオコン)、それに賛成ながらやや控えめなチェイニー副大統領、国際協調を主張し、イラクなどへの攻撃の正当性に疑義をはさむパウエル国務長官、ペンタゴンと対立を続けるテネットCIA長官。

そして、それらの調整役であり、ブッシュが最も頼りにする、当時ライス安全保障担当補佐官(現国務長官)と主役のブッシュ大統領。これらの人物の動きをテロ後の一日ずつが議事録あるいは日記のように書かれています。

ウォーターゲート事件で、ニクソン大統領を追い詰めた、大物ジャーナリストであるがゆえに許される要人との接触を通じ、実に丹念に取材したことがうかがえる一冊。内外の対立やジレンマを克服しながらブッシュ政権の政策が決定される過程が手に取るようにわかり、臨場感があります。

日本の政界にもこうしたノンフィクションが書けるような土壌が欲しいと思わざるを得ません。暴露的要素もあり、良く書けたものだと感心します。ブッシュのリーダーシップはすごいですね。戦争を決断するという次元ですから、日本にはなじまないのですが、日本の政治家のスタイルとの違いを痛感しました。

ただし、本書を読んでもブッシュの勉強不足は残念ながら事実なようですから、その並外れたリーダーシップは逆に、パウエルが去った今、かなり危険ともいえそうです。

http://tokkun.net/jump.htm 

ブッシュの戦争

日本経済新聞社

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P.S. どうしても、もうひとこと!
500ページ近い長編なのに、ほとんどアフガン問題に割かれ、イラク、北朝鮮関連の記述がほとんどないのが大いに不満でした。というのも、↑の写真ご覧下さい。本書の帯にはでかでかと 『イラク攻撃はこうして決定された 』『 「金正日は大嫌いだ」とブッシュは叫んだ 』 と書いてあって、アフガニスタンのことは全く触れていないんです。

本書の発売の少し前、2002年に日朝首脳会談が開かれていますので、当然、アメリカの北朝鮮に対する政策に日本人の関心も高いですし、イラク攻撃直前ですから、そちらも気になります。なのに、本書の内容はほとんどアフガニスタン。

以前、ご紹介した、"『「ドラゴン桜」わが子の「東大合格力」を引き出す7つの親力』親野智可等 は書名自体がひどいものでした。帯や書名にだまされる方が悪いのですが、嫌いですね、こういう売り方は。

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12 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
tani大先輩 (VIVA)
2006-09-12 15:13:54
Yes, sir.



気合入れなおして、作戦考えます。



 と行きます。
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W Push (tani)
2006-09-12 11:31:50


昨夜は、茅屋にお出でいただき有難う御座いました。人気の「blogランキング」、苦戦のご様子。 W. Push 仕りました。

ライバルblogも覗かせて頂いております。

「古本屋」さん、とか「せどり」とか、old man のゴ商売だとばかり思っていました。

若者がやっているんですね。

また帰りにW.Push致します。ソンデワ。

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ysbeeさん (VIVA)
2006-09-12 10:06:00
そうですね、雑誌がありました。もちろん日本人の学生向けの新聞などもありますが、やはり外国のものの方が、ありがたみがあります(笑)。



Newsweek や Time は難しいでしょうから、ご紹介いただいた、Vanity Fair というのが、おもしろそうですね。寡聞にして存じません。一度みてみたいものですが、日本でも入手できますかね?



またまた有益な情報ありがとうございます。
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英文雑誌をおすすめ (ysbee)
2006-09-12 09:10:05
単行本の読了には、根気が要りますが、私の場合雑誌マニアで、雑誌のコラムから英語の言い回しが身に付いたように思えます。1コラムが2~3ページで読みやすいですし。

イチオシの雑誌は『Vanity Fair』。この雑誌の傾向は硬軟自由自在で、日本の雑誌に例えていうと…似たようなものが無い! まさしく米国メディアを象徴するような雑学的コラムが満載です。

昨日のディープスロートも、Vanity Fair の誌上で正体を明らかにしたし、今月号ではトム・クルーズのベイビーの写真を独占初公開したり…と週刊誌的な傾向も無きにしにあらずですが、国際情勢も小説のように面白く読めますよ。

ライターもフォトグラファーも世界の第一級を駆使してます。

> http://www.vanityfair.com/



週刊誌なら『Newsweek』がジャーナリスト魂のサムライをそろえていて、頼りになります。

> http://www.msnbc.msn.com/id/3032542/site/newsweek/
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山ちゃんさん (VIVA)
2006-09-12 00:50:15
その通りだと思います。日本人ですから、すっと入る日本語から入るのはごく自然なことです。村上春樹さんでも、重松さんでも、自分が好きな本が英語でどう書かれているのか、気になればチャレンジもできるでしょう。



そこから、さらにフィッツジェラルドなどに進んだら良いし、シェークスピアまでたどり着くかもしれませんね。



これからも時々コメントいただけるとうれしいです。勉強の話しは楽しいですから。
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ら、ライシャワーですか (山ちゃん)
2006-09-11 23:04:04
ライシャワーですか。それはすごい。まねができません。



そうすると今の若者たちに村上春樹というのはありかも知れないですね。



彼の作品を読んでから翻訳を読んでもいいし、彼のライ麦やフイッジェラルドの翻訳を読んでから原書にチャレンジしてもいいし。私はまず翻訳で読んでからというのを恥ずかしいとは思っていません。



長々と失礼しました。m(__)m
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やまちゃんさん (VIVA)
2006-09-11 22:25:12
そうなんですよね。日本語の小説でもそうですが、いったん入ってしまえば、読み続けられますが、英語の難解なものはダメですよね。そうなると難しいんですよ。日本で英語を学ぶ順序とネイティブが身に付けていく順序が違いますから、外国の易しいバージョンでも、返って難しいということがありますから。



その点、生徒に薦めるのは、夏目漱石の英訳で自分が呼んだことあるものは大変良いと言っております。レベルが上がればいろいろありますが…。



私が一番最初に読んだのは、やはり高校3年生の時の、ライシャワーの「The Japanese」です。



今から考えると、身の程知らずで、よくそんな高級なものに手を出したもんだと思うのですが、当時は、ライシャワーやラッセルの英文が入試に出されていましたので、チャレンジしました。



そのおかげで、英語力はともかく、根性だけはついたかなと…(笑)。
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レス、ありがとうございます (山ちゃん)
2006-09-11 20:39:45
私も彼の「大統領の陰謀」と「ブレザレン」に英語で挑戦したことがありますが三分の一も読めず挫折したことがあります。興味が結局続きませんでした。



その点で言えば小説のほうがストーリー性があるぶんいいのでしょうか。私の友人は教え子たちに「Earth Sea」シリーズつまりゲド戦記を勧めているようです。指輪物語は英語が難しいし長いけれど、ゲド戦記はさほど英語が難しくなく、ひとつひとつの物語が長くないからだそうです。



ファンタジーが彼女のお勧めとのことですが、ナルニアは宗教色がつよくちょっと躊躇があるようです。



子供たちに勧める本は難しいですね。VIVAさんが最初に読みきった洋書はなんでしょうか? 私の場合は高校三年の時に読んだアシモフの幼年期の終わりでした。といってもその半年前に一回翻訳で読んでいたのですが。
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山ちゃんさん (VIVA)
2006-09-11 19:30:58
こんばんは、ご無沙汰しております。私なんぞの意見でよろしければですが…



チョムスキーの方はできれば、英語の方が良いと思います。私も原書を読みました。ひょっとしたら、大学入試の英語のテキストになるかなと思いましたので、生徒にも見せました。おっしゃるように、小説よりももちろん読みやすいのですが、やはり、基本的な政治的知識は必要ですから、本当のトップレベルの生徒にしかやらせませんでしたが…。



ブッシュの戦争の方は、原書を読んでおりませんので…、推測ですが、こちらはいろいろな登場人物がおり、しかも会話が多いもんですから、日本語で読むとチョムスキーよりくだけていますが、英語だとかえって難しいのではないかと思います。(受験生にとってはということですが)



もう一つの問題は、量ですね。500ページを英文で通読するということは、よほどおもしろく読めないと、読みきることは難しいと思います。私もひるみます。読む人によって英語力も、読書の目的も違うでしょうから、一概には申せませんが…。



中途半端なお応えですが、お許しください。
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ysbeeさん (VIVA)
2006-09-11 19:21:37
遠慮せずガンガン書き込んじゃってください。アメリカ発の新鮮な情報はありがたいです。BS見なくてもこのブログ見ればOKてなれば理想です(笑)。



それはそうと、ディープスロートも(もちろん本書には登場しませんでしたが)本当は少し言及したかったので、これまた大助かり!ありがとうございます。「ザ・シークレットマン」が邦題「ディープスロート」ですよね。読まれましたか?おもしろそうですね。
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洋書で読む? (山ちゃん)
2006-09-11 18:52:30
VIVAさん、今晩は



ここ二回ご紹介されていた本をオリジナルの英語で読んでみるというのはどんなものなのでしょうか?



ジャーナリストの文章はストレートなぶん、小説より読みやすいのかなとも感じています。



ご意見をいただけたら幸いです。
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ジャーナリスト魂 (ysbee)
2006-09-11 18:49:33
今日の本の著者ボブ・ウッドワードは、VIVAさんもご指摘のとおりウォーターゲート盗聴事件を暴露してニクソン大統領を退陣に追い込み、ジャーナリズムの英雄として尊敬を集めたワシントンポスト紙の若手ジャーナリストコンビのひとりです。

随分古い映画ですが、76年の All the President's Men(邦題「大統領の陰謀」)でダスティン・ホフマンの相方としてロバート・レッドフォードが演じた役が、彼です。

この映画の中で、共和党政府首脳の秘密をウッドワードにばらす謎の人物がシルエットで出てきますが、このシークレットマンが、昨年30数年ぶりにその存在を明らかにして脚光を浴びました。巷間では「ディープ・スロート」と呼ばれていたこの人物は、何と当時のFBIの副長官だったのです。

それまでの長い年月約束を守って沈黙を続けたウッドワードは、これでまた男を上げた訳ですが、解禁になったとあって当時のいきさつをまとめ上げた『ザ・シークレット・マン』という本も出しましたよ。

アメリカの政治はホントに映画より奇なり、と思えることがしばしばです。自ブログに書けば?と外野に野次られるといけないので、このへんで!
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