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『北朝鮮を知りすぎた医者:脱北難民支援記』 ノルベルトフォラツェン

2007年10月08日 | 外国関連


フォラツェン.jpg


韓国の盧武鉉(ノムヒョン)大統領と北朝鮮の金正日総書記が首脳会談を行いましたね。金大中前大統領の訪朝時のような、“歴史的” というほどのインパクトはありませんが、それでも気になります。

どうも、報道を見ていますと、相変わらず外交交渉は北朝鮮ペースで進んだ印象で、韓国は大規模な経済援助などを約束したようです。日本から見ているとなかなか理解できないのですが、韓国人拉致については話題にもならないそうですね。


本書はそうした日本人にはわかりにくい韓国の政治状況を含め、朝鮮半島全体を知る参考になると思います。

北朝鮮国民の窮状を訴えた前著に続き、それを支援する命がけの活動などを紹介し、いっそう国際世論を盛り上げ、中国、韓国、日本の政府にプレッシャーをかけたいという意図で書かれています。

氏がどのように北朝鮮内の最新情報を得ているかということなども詳らかにされています。 

フォラツェン氏らの活動が徐々に実を結び効果を上げたため、新しい問題が出てきているというのです。それはNGOなどの援助がない脱北者たちが、簡単に中国、韓国に行けると思い込み、周到な準備もせずに大使館などに抗議をし、次々と捕らえられているというのです。

また、規模が大きくなったために脱北者に北の諜報員が紛れ込んでいるケースも増えてきた。その上脱北に関する情報提供に対する賞金を中国が大幅に吊り上げてしまって、一般人からの通報が激増し、警官に捕らえられる脱北者が急増しているのだそうです。

捕まったら最後、送り返され処刑を覚悟しなければならないことは言うまでもありません。 

また、太陽政策をとってきた金大中前韓国大統領を厳しく批判しています。太陽政策は単純な人道主義ではなく、金でノーベル平和賞を買い、北に途方もない額の資金を提供して独裁国家を援助したという見方です。

もしそうしたことが真相だとすれば、フォラツェン氏は、韓国政府にとっては邪魔な存在そのものですね。氏は中国にはすでに入国できず、韓国では始終様々な組織につけまわされ、警官と殴り合いになったり、家族まで危険にさらしながら活動しています。

それにもかかわらず、本書では、中国に北朝鮮との国境を開かせ、金正日体制を倒すまで戦うことを何度も言明しています。この本の印税もきっと活動に使われるはずです。

前著は、以前取り上げました。よろしければご覧下さい。

 ⇒ 『北朝鮮を知りすぎた医者




P.S. 以前にも書きましたが、実は、北朝鮮から帰国された5人の拉致被害者の中のお一人と、私の教え子のお母さんは幼なじみでした。

そのお母さんは、北朝鮮が拉致を認め、ご自分の友人の名がテレビで告げられた時、震えていたそうです。5人の帰国後、すぐに連絡を取り、何度かお会いになり、頻繁に電話もされていたそうですが、私の教え子も『受験勉強頑張って』と励まされ、プレゼントまでいただいたそうです。

ご自分の筆舌に尽くしがたい多難を嘆くどころか、何不自由ない友人の子どもにまで気配りをするということに深く感動しました。そういう善良な市民の拉致をあいまいにしようとする勢力が北朝鮮以外にもありそうで、とても許せません。



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北朝鮮を知りすぎた医者 脱北難民支援記
ノルベルト・フォラツェン,平野 卿子
草思社

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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
こんにちは。 (街中の案山子)
2007-10-09 15:18:01
前著「北朝鮮を知りすぎた医者」は5,6年前だったかに読みました。貧しさを書いたいくつかのエピソードを今も覚えています。ドイツ人のお医者さんは継続して活動していらっしゃるのですね。情報が飛び交って、東西ヨーロッパが血を流すことを最小にして開放されたように、この国も何とか開かれた国になってほしいものです。
私の故郷も北陸の海岸、15分ほど歩くと海岸に出ます。いつだか報じられた拉致の可能性があるメンバーの一人に、中学の時の同級生がいました。行方知れずになって海難事故かと何度も海を探したそうです。68年前後の話らしいですが、隣の漁村で「北朝鮮に拉致」なんて、そのころ思いもしませんでした。自分の家族が…、という立場になると、四六時中、忘れられないでしょうね。
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街中の案山子さん (VIVA)
2007-10-09 16:13:40
そうでしたか。中学の同級生の方が…。68年ならもう、北朝鮮の拉致が始まっている頃ですね。それにしても…。

フォラツェン氏は日本でも世論を盛り上げようと、来日したこともありますが、どういう訳か、あまり派手に取り上げられませんね。日本政府やマスコミも北朝鮮を刺激したくないのでしょうか。
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