「島らっきょう」……しなやかに伸びたネーネーの素足のように、白い肌が
すんなり美しく輝いている沖縄の「島らっきょう」。
その味わいは、素朴さの彼方に深淵があり、また、その強烈な臭みは、口に含んだとたんに芳香に昇華し、人をして病みつきにさせずにはおかないのです。
ひとことでいえば、あまりに沖縄的で、かつあまりに沖縄病的な食材といっても過言ではありません。
ところで、ヤマトゥでらっきょうといえば、漬けもの。らっきょう漬けといえば、酢漬け(甘酢漬け)が代表的ですが、沖縄特産の「島らっきょう」は、きまって浅漬け(一夜漬け)なのです。
沖縄の本でつくり方を見ると、「適量の島らっきょうに適量の塩をふり、一晩漬けます」と、いかにも沖縄らしいテーゲーな説明が多いのです。でも、これでは適量の塩加減がわかりません。で、テーゲーに塩をふると、漬からなかったり、塩からすぎたりしがち。
というわけで、「ふり塩」ではなく「立て塩」という調理方法を選択しました。簡単にいうと、きれいに薄皮をむいてから塩水に漬けること。これなら、最初から塩加減をきちんと計れます。
ふり塩と同様に塩の浸透圧の作用を利用して、「島らっきょう」に塩分を含ませます。「島らっきょう」の種類、太さ、漬ける時間、好みなどで塩分は異なりますが、おおよそ6%から10%くらいです。うまくいかなくても、それを教訓に次は自分の塩加減を決められます。
「島らっきょう」というチュラカーギーは、薄い衣を脱ぎ捨て、母なる海水で身を清め、一晩熟睡することで美味なる女神に変身するのです。