玉川上水みどりといきもの会議

玉川上水の自然を生物多様性の観点でとらえ、そのよりよいあり方を模索し、発信します

BBCの取材 1 取材はじまる

2017-03-29 01:50:14 | 生きもの調べ

 1月のある日、BBCからメールが届きました。私が書いたタヌキの食性についての論文について質問があり、論文の中で人工物としているのは何かということで、残飯などだと返事をしたことから、私がいま調べている津田塾大学のタヌキについて取材をしたいということになりました。その後、テッサさんという人と頻繁にメールのやりとりをしました。そして取材の日である3月29日が来ました。
 当日はよい天気で、昼過ぎに津田塾大学に行きました。BBCのクルーはすでに来ていて、挨拶をしました。ローワン・クロフォードさんがディレクター、クリス・パックマンがプレゼンターでほかに私とやりとりをしてきたテッサ、カメラマンのグラハム、音声のマーク、通訳の人もいました。
 よい天気になり、キャンパス内の雑木林には薄日が射して穏やかな春の日という感じでした。クリスと歩きながらタヌキの話をするところを撮影ということで、それ以上の打ち合わせはありませんでした。クリスはいきなり、「タヌキっていうのはどういう意味だ?」と聞きました。「タヌキの意味は知らないけど、漢字ではケモノと里を組み合わせた字を使う」といいながら「わかるかな?」と思ったので、観察会で使うホワイトボードをとりだして漢字を書きました。そうしたら「それはいい考えだから、はじめからボードをもって歩いてくれない?」ということで撮り直しになりました。クリスは動物生態学を学んだことがある人でアナグマを調査したことがあるそうです。それで「はあ、タヌキは里の動物っていうことだね?」とうまくことばをつないでくれました。


ボードを使って「狸」の字を説明(棚橋早苗さん撮影)

「で、それが東京にいるというのはどういうこと?東京は里じゃなくて市街地だらけだろう?」
「そう、でもタヌキは昔は里山、つまり農業地帯に住んでいたけど、適応力があるから、今では市街地でも生き延びているんだ。キツネもこのあたりにはいたけど、今は西部にいるだけで、このあたりに生き残ったのはタヌキだけなんだ」
「このキャンパスにはどのくらいいるの?」
「野生動物の数を正確に知るのはむずかしいことで、はっきりはわからないけど、タメフンの数や広さからいって10頭か15頭くらいだと思う。となりに玉川上水があって、連続的な緑地があるから、それにつながるこのキャンパスが避難所みたいになっているわけだ」
「なるほど」
というような話をしました。

「アナグマは林縁のようなところを好むけど、タヌキは?」
「林の下の藪のあるところだね」
「へえー、開けたところは好まない?」
「好まないね、曝されるのは好まない。」
「タメフンをするのはどういうところ?」
「やはり藪で、3カ所確認しているんだ」
「ではそこに行こう」
ということで一度カメラがとまりました。そのとき、咲き始めたサクラにメジロがきていました。そうしたらみんな大喜びしてメジロだ、メジロだとカメラマンも一生懸命写していました。全体に鳥好きの人が多く、「あれはカラね」などといっています。メジロは東京にくる前に京都で1日かけて撮影しようとしたが、うまくいかなかったそうで、よろこんでいました。そうしたら私も今までここでは見たことのなかったアオゲラもいて、クリスはスマホでイギリスにいる同じ属のアオゲラを紹介してくれました。動物好きはこういう形で共有するものがあるので、すぐに仲間意識が持てます。
つづく

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
«  | トップ | BBCの取材 2 タメフン »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

生きもの調べ」カテゴリの最新記事