玉川上水みどりといきもの会議

玉川上水の自然を生物多様性の観点でとらえ、そのよりよいあり方を模索し、発信します

フクロウの食べ物調べ 11

2023-01-29 11:08:30 | イベント
分析が終わり、時間も来たので、まとめのお話をしました。フクロウはネズミを食べる鳥で、そのためにほかの鳥にはないような体や行動をします。ところが人が林を切ってしまったので、住む場所がなくなり、それまで食べていたアカネズミがいなくなりました。でもハタネズミという別のネズミが住むようになってフクロウは食べ物を切り替えました。
 それでも牧場にはハタネズミがいたからよかったのですが、町になるとそういうネズミもいなくなるので、町にはフクロウがいなくなります。私は偶然、津田塾大学で死体を見つけましたが、この辺で鳥を調べている人に聞くと、私が死体を拾った頃からフクロウの鳴き声が聞こえなくなったそうです。つまり私が小平の最後のフクロウを拾ったということです。
 人が便利な生活をしようと開発すると、多くの野生動物が暮らせなくなり、苦しい気持ちになります。そうした中で一つ明るい話があります。
 青森県という北の方にあるところに弘前という町があり、リンゴをたくさん作っています。ところが農家の人が歳をとって大きなリンゴの木では農作業が大変になってきたので、大きな木を切って若い木を植えたんだそうです。そうしたら、困ったことにそれをハタネズミがかじるようになりました。そうなると木が枯れてしまい、大被害です。そこで農家の人はネズミを毒で殺すことにしました。ところが、少しは減ったものの、ネズミの被害は止みません。その時、弘前大学の東先生が、フクロウの巣を置いてフクロウを呼ぶ戻す計画を進めました。実はこの先生は私が東北大学で若い研究者だったときにまだ学生で、青森にある八甲田山の実験所にいて、私もそこに毎年行っていたので知り合いでした。ともかくその東先生の計画がうまくいって、フクロウが戻ってきてネズミをたくさん食べてくれたおかげで、リンゴの被害がなくなったのです。
 この例は、自然の仕組みをよく理解した研究者のアドバイスで、農業がうまくいった例となりました。だから私は、玉川上水にもついこの前までフクロウがいたのだから、また戻って来れるような良い自然になるように市民が努力したらいいと希望を持っています。


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
«  フクロウの食べ物調べ 10 | トップ | フクロウの食べ物調べ 12 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

イベント」カテゴリの最新記事