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奈良・東大寺南大門の石造獅子像 台座文様も「南宋」と酷似

2008年08月29日 | Weblog
「工人来日し制作」寺史裏付け
 中国・南宋(1127~1279年)の石材が使われた可能性が高いことがわかった東大寺南大門(奈良市)の石造獅子像2体(重要文化財、鎌倉時代)について、台座に彫られた雲、花、動物の文様も、南宋の石造物などの文様と酷似していることが、奈良女子大大学院生の大江綾子さんの調査でわかった。工人が手がけた文様にも共通性がみられ、「南宋の工人が日本に来て造った」との寺史の記述を改めて裏付けた。
 獅子像の台座は高さ1・4m。側面に渦巻き状の雲、ハスやボタン、シカなど様々な文様が精巧に彫られている。「東大寺造立供養記」には、平氏の焼き打ち後に同寺を復興した重源上人が1196年、宋(南宋)の工人を招き、中国から輸入した石材で獅子像を造らせたとある。
 大江さんは、獅子像と、日本の仏教とゆかりが深い中国・浙江省寧波周辺の南宋時代の石造物や陶磁器を中心に装飾を比較。雲文が南宋時代の重臣・史弥忠の墓の門飾りや、シカが集落入り口に置く標石「門鼓(もんこ)石」に彫られた文様などと、いずれも似ていると結論づけた。
 また、雲文のある台座は像を高くするため近世に加えたとされていたが、南宋時代に意匠の類例があることなどから、鎌倉時代の獅子像造立当初の制作とみられることもわかった。
 中日石造物研究会は今月、獅子像本体の石材に、寧波周辺で算出される「梅園(ばいえん)石」が使われた可能性が高いことを明らかにしている。大江さんは「石材だけでなく、南宋の工人がデザインを携えて来日したことがわかった。絵画も調べ、類例をさらに探したい」と話している。
[参考:読売新聞8/25、前出]

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