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宮崎県えびの市・島内139号地下式横穴墓 鮫皮を巻いた「銀装円頭大刀」と古墳出土品のなかで国内最長の大刀を確認

2016年10月26日 | Weblog
 宮崎県えびの市教育委員会は24日、同市の島内(しまうち)139号地下式横穴墓に副葬されていた古墳時代後期(6世紀前半)の大刀に、ヤマト政権で高位の人物のみが身に着けることができた鮫皮(エイの皮)や高級織物の経錦(たてにしき)が使われていたと発表した。
鮫皮巻は高位の人物の持ち物であり、被葬者は朝鮮半島との外交などで重要な役割を果たし、政権との密接な関係があったとみられるという。
 同横穴墓は2014年に発掘され、被葬者は男女2人で、甲冑や弓矢、馬具などの副葬品約400点が確認された。市教委はこれらの保存処理と科学分析を、奈良県の元興寺文化財研究所に依頼していた。
男性被葬者の人骨の左側に置かれた鉄製大刀2点を分析したところ、

1点は長さ約15cmの柄(つか)に細かな粒状文様が特徴の鮫皮を巻いた「銀装円頭大刀」(全長約85cm)と判明した。鮫皮はエイの皮で、幅5ミリほどの銀線で固定されていた。
 この大刀は柄頭や鞘(さや)口などに施された銀の装飾の技術や形態から、朝鮮半島・百済製とみられる。鮫皮を用いた大刀では、聖武天皇(701-756)の遺品とみられる東大寺金堂(大仏殿)鎮壇具(奈良時代、8世紀)が知られるが、今回の大刀はこれを約200年さかのぼり、国内最古の例となる。東アジアでも実物が確認できる最古の例となる。

もう1点は古墳時代の刀剣としては国内最長となる142cm(復元すれば150cm)の「木装長刀」で、奈良県の藤ノ木古墳の大刀(136.5cm)より長い。鞘口に高級織物の経錦(たてにしき)が巻かれていた。6世紀前半では全国に4例しか確認されていない高級織物で、刀装具では初めての例という。そのため、大和政権のもとで作られ、大王周辺から贈られたものとみられるという。

 これらの刀は11月1日~12月25日、えびの市歴史民俗資料館で展示される。
[参考:宮崎日日新聞、南日本新聞、西日本新聞、共同通信、朝日新聞、読売新聞、毎日新聞]

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