田中雄二の「映画の王様」

映画のことなら何でも書く

『ワイオミング』

2017-02-08 08:00:25 | 映画いろいろ

西部開拓期の愉快でちょっと哀愁がある“ほら話”



 1830年代、西部開拓初期の狩猟者(マウンテンマン)を主人公にした異色作。ビーバーを狩猟しながら共に旅をするタイラー(チャールトン・ヘストン)とフラップ(ブライアン・キース)。彼らはひょんなことからインディアン女性のランニング・ムーン(ビクトリア・ラチモ)を助けるが、彼女はブラックフット族のリーダー、ヘビー・イーグル(スティーブン・マクト)の女だった…。彼らはヘビー・イーグルの執拗な追跡を受ける羽目になる。

 公開時(80年)に見たものの、何とも盛り上がりに欠けるストーリー展開に加えて、ミシェル・ルグランの音楽も違和感があり過ぎて、結局は、舞台となったワイオミングの風景の美しさしか印象に残らなかった。

 ところが、約37年ぶりに見直してみたら、最近の同種の映画、例えばディカプリオ主演の『レヴェナント』などの厳しさと比べると、何とも大らかでのんびりとしていて逆に好感が持てた。

 この映画の味は、西部開拓の話によく出てくる伝説や、愉快でちょっと哀愁がある“ほら話”に近いのかもしれない。何でもリアルに映したり、演じればいいということではないのだなあ。

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『ラブ・アゲイン』

2017-02-07 08:00:07 | 映画いろいろ

『ラ・ラ・ランド』の前哨戦か



 ある家族を中心に描いたラブコメだが、登場人物たちの関係性がなんともややこしい。原題は「crazy stupid love」。もちろんこちらの方が的を得ている。主人公はキャル(スティーブ・カレル)という中年男。ある日、妻のエミリー(ジュリアン・ムーア)から同僚のデビッド(ケビン・ベーコン)と浮気したことを告白され、離婚を切り出される。

 長男のロビー(ジョナ・ボボ)はベビーシッターのジェシカ(アナリー・ティプトン)に憧れているが、ジェシカはキャルに恋心を抱いている。失意のキャルは、バーで知り合ったプレーボーイのジェイコブ(ライアン・ゴズリング)の指南を受け、ケイト(マリサ・トメイ)といい仲になるが、彼女はロビーの担任教師だった。そして、ジェイコブはそれとは知らずにキャルの娘のハンナ(エマ・ストーン)と恋仲になるが…。

 クライマックスは、このややこしい関係の人物たちが一堂に会してドタバタを繰り広げる。まあ、ラストはちゃんと丸く収まるのだが、よくもこんな話を思いつくものだと感心させられた。恋人同士を演じるゴズリングとストーンを見ていると、何だか『ラ・ラ・ランド』の前哨戦のように見えておかしかった。

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【コラム】前向きなメッセージを発信 「この世界の片隅に」がヒット

2017-02-06 08:00:42 | 映画の森
共同通信社が発行する週刊誌『Kyoudo Weekly』(共同ウイークリー)2月6日号に、
前向きなメッセージを発信 「この世界の片隅に」がヒット と題したコラムを執筆。









https://www.kyodo.co.jp/ecm-news/2017-02-08_1588425/
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『ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち』

2017-02-05 15:38:55 | 新作映画を見てみた

異形の者にこだわり続けるティム・バートン



 孤独な少年ジェイク(エイサ・バターフィールド)と奇妙な子供たちとの不思議な友情と冒険の物語を描いたダークファンタジー。時間のループ(輪)=繰り返しを用いたティム・バートン流のひねりが見ものとなる。

 祖父(テレンス・スタンプ)からジェイクへに伝えられる嘘のようなまことの話という意味では『ビッグ・フィッシュ』(03)とも通じるところも。

 『シンドバッド七回目の航海』(58)『アルゴ探検隊の大冒険』(63)にならったような骸骨のチャンバラシーンもあり。
今回は緩いところも多いが、異形の者にこだわり続け、あくまでも自分の趣味を貫くバートンをあっぱれと言うべきか。

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【ほぼ週刊映画コラム】『ニュートン・ナイト 自由の旗をかかげた男』

2017-02-04 18:17:02 | ほぼ週刊映画コラム
エンタメOVOに連載中の
『ほぼ週刊映画コラム』

今週は

トランプで揺れる今こそ見るべき映画
『ニュートン・ナイト 自由の旗をかかげた男』



詳細はこちら↓

https://tvfan.kyodo.co.jp/feature-interview/column/week-movie-c/1090778
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