田中雄二の「映画の王様」

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『悪魔の手毬唄』

2019-10-03 09:38:24 | 映画いろいろ
『悪魔の手毬唄』(77)(1977.4.15.千代田劇場)


 昭和27年、金田一耕助(石坂浩二)は、旧知の磯川警部(若山富三郎)から、20年前に岡山県の鬼首(おにこべ)村でで起きた未解決事件の調査を依頼される。そんな中、村を二分する由良家と仁礼家の娘が次々に殺される。金田一は、今回の事件が、村に古くから伝わる手毬唄になぞらえて行われていることに気づくが…。
 
 横溝正史原作、市川崑監督、石坂浩二主演の金田一耕助シリーズ第2作。市川崑がアガサ・クリスティーをもじった久里子亭名義で脚本も書き、原作を少なからず改変している。
 
 それは、連続殺人の遠因に、活動写真の弁士がトーキーの波におされて失業した事情があることを強調し、日本で初めて字幕スーパーが付いた『モロッコ』(30)の一場面を挿入したり、磯川警部のヒロイン・リカ(岸惠子)への純情をサイドストーリーとしてしっかり描くことで、原作にはない映画的な情感を生み出すことにつながった。中でも、ラストの磯川と金田一の”総社(そうじゃ)”駅での別れのシーンが絶品だ。音楽は前作『犬神家の一族』(76)の大野雄二に代わって村井邦彦が担当。「哀しみのバラード」が耳に残る。

【今の一言】この映画の磯川警部役でイメージを一新した若山は、その後、テレビドラマ「事件」(78)の弁護士役や『衝動殺人 息子よ』(79)の父親役でも名演を披露した。

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