田中雄二の「映画の王様」

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「ザ・シネマ」『テキサス群盗団』

2022-03-20 15:42:43 | ブラウン管の映画館

『テキサス群盗団』(66)

 早撃ちで名高いジェス・カーリン(オーディ・マーフィ)は、町を牛耳るルーク(ブロデリック・クロフォード)の策略でお尋ね者となりメキシコで暮らしていた。

 ある日、町から来た男から、新聞社を営む兄が殺されたことを聞く。彼は敵討ちを誓い、真相を確かめるため、再び町に帰るが、ルーク率いる手下たちが待ち構えていた。

 戦場のヒーローから映画スターとなったマーフィ主演の劇場未公開の西部劇で、原題は「THE TEXICAN」。何も考えずに見られるようなB級西部劇の典型的な1本だが、アメリカとスペインの合作故か、マカロニウエスタンのにおいがぷんぷんする。相手役のスペイン女優ダイアナ・ロリスも、けばけばしい感じがして、甚だ西部劇には似合わない。

 この映画のマーフィは、クエンティン・タランティーノ監督の『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』(19)で、レオナルド・ディカプリオが演じた、イタリアに流れる落ち目の西部劇スター、リック・ダルトンとイメージが重なるところがある。もしかすると、タランティーノ頭の中にはマーフィもいたのかもしれない。

 早撃ち、乗馬に加えて、ボクシングの経験もあるというマーフィは殴り合いのシーンも、なかなか迫力があるのだが、ベビーフェイスと小柄な体格が邪魔をして、どうしても小粒に見えてしまうところがある。この映画の頃は、すでに映画スターとしては黄昏を迎えており、71年に飛行機事故で亡くなっている。

 それにしても、この邦題はひどい。群盗団などどこにも出てこないのだから。

オーディ・マーフィ
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/7c1e8b069bfd49fdc2dfb30708b6e0e9


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