田中雄二の「映画の王様」

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『招かれざる客』

2019-06-08 07:42:04 | 映画いろいろ

『招かれざる客』(67)(1997.7.3.)



 黒人と白人の結婚問題を扱った、製作当時としては非常に大胆な作品を再見。ちょっと説教くさかったり、理想論的なところはあるが、スペンサー・トレイシーとキャサリン・ヘプバーンという黄金コンビ最後の共演に、シドニー・ポワチエを加え、さらに娘役の新人女優キャサリン・ホートン(ヘプバーンの姪)と、達者な脇役セシル・ケラウェイが司教役でいい味を出す。一種の室内劇で、ちょっと名舞台を見ているような感じもする。

 今回新たに発見?したのは、ポワチエの役がエリートである必然性と皮肉だ。それ故、彼が同じ黒人(両親や使用人)からも、違う意味での差別を受けるという二重構造が描けるということ。このあたり、さすがは社会派の名匠スタンリー・クレイマーと名脚本家ウィリアム・ローズという感じがする。もう今から30年以上も前の映画だが、基本的には差別や偏見の根本はあまり変わっていないから、単純に昔話として片付けられない苦さも残る。

 さて、この時期はまさにポワチエの絶頂期。『手錠のまゝの脱獄』(58)に始まって、黒人初のアカデミー主演男優賞に輝いた『野のユリ』(63)、教師役の『いつも心に太陽を』(67)、エリート刑事役の『夜の大捜査線』(67)、そしてこの映画と続いた。みんないい映画だし、何より彼の姿がカッコいいのだ。



『招かれざる客』のパロディとも言える『ゲット・アウト』(17)
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/a49151ef9051f5f2af0611b3d6b25cbf


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