『馬と呼ばれた男』(70)
1825年、イギリス貴族のジョン・モーガン(リチャード・ハリス)は、アメリカ中北部のダコタで狩猟に明け暮れる日々を送っていた。だが川で水浴中にスー族のチーフであるイエロー・ハンド(マヌ・トゥポウ)に捕らえられてしまう。イエロー・ハンドは、ジョンのことを馬と呼び、首に縄をかけ、母親のバファロー・カウ・ヘッド(ジュディス・アンダーソン)に差し出す。
ジョンは、家畜同然の扱いを受けるが、同じく捕囚でインディアンと白人のハーフのバティース(ジーン・ガスコン)から、スー族の風習を習いながら、彼らと同化し、やがてイエロー・ハンドの妹のランニング・ディア(コリンナ・ツォッペイ)と結婚する。
インディアンの風俗や儀式、生活を正面から描き、文化人類学的な側面を持った異色西部劇。監督は『キャット・バルー』(65)のエリオット・シルバースタイン 音楽は『エデンの東』(55)などのレナード・ローゼンマン。
インディアン社会に入り込んだ白人の視点という意味では、後の『ダンス・ウィズ・ウルブズ』(90)に多大な影響を与えたと思われる。続編として『サウス・ダコタの戦い』(76)(1981.11.16.月曜ロードショー)、『馬と呼ばれた男の勝利』(83)(1986.8.2.ウィークエンドシアター)がある。
主演のリチャード・ハリスは、“怒れる若者”と呼ばれた『孤独の報酬』(63)で名を上げ、歌手として「マッカーサー・パーク」などをヒットさせた後、アメリカ映画に進出し、西部劇『荒野に生きる』(71)『死の追跡』(73)にも出演。
70年代半ばには全盛期を迎え、『ジャガーノート』(74)『カサンドラ・クロス』(76)『オルカ』(77)『ワイルド・ギース』(78)などに主演したが、アルコール依存症と薬物中毒に陥り低迷。克服後は「ハリー・ポッター」シリーズの魔法学校のダンブルドア校長などを演じた。
アンダーソンは『レベッカ』(40)の屋敷の使用人役が有名。ツォッペイはギリシャ出身の元ミスユニバース。ジョンに雇われたならず者役でダブ・テイラーとジェームズ・ギャモンも顔を出す。
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