田中雄二の「映画の王様」

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「ミュンヘンへの道」

2023-05-17 10:47:33 | テレビ

 バレーボールの横田忠義氏の訃報に接し、「ミュンヘンへの道」(72)という番組のことを思い出した。

 この番組は、バレーボール男子日本代表が、ミュンヘンオリンピックへ向けて取り組む様子を、選手個々のエピソードを交えながら描いたもので、エピソード部分はアニメーション、練習の模様などは実写映像を使って放送された。現実との同時進行で、番組の最後には「ミュンヘンオリンピックまであと〇日」というカウントダウンが出た。

 これは、日本代表監督の松平康隆自らがチームの知名度アップを目指して広告代理店経由でTBSに企画を持ち込んだものだという。あらゆる手段を使って男子バレーチームをメジャーにすることを考えた希代の策士・松平らしいやり方だ。で、それに見事に乗せられて、当時小学6年生だった自分も夢中になって見ていた。

 「♪~覚えておくがいいよ一途に燃えた日々、覚えておくがいいよ二度とない日を。火のようなスパイクに体をぶつけ、飛び散る汗にさえ生きてる輝きが」作詞・阿久悠/作曲・渡辺岳夫の主題歌は今もよく覚えている。

 実際の五輪では、ズラタノフを擁するブルガリアとの準決勝が最大の山場となった。2セットを先取され、第3セットも先行を許す絶体絶命の状況で、松平はベテランの主将・中村祐造や南将之を投入して流れを変え、3セットを連取して逆転勝ちを収めた。腰痛のため自転車のチューブを腰に巻き付けてプレーしたという横田の姿は壮絶だった。当時、テレビで深夜の衛星生放送を見て興奮したことをよく覚えている。

 このブルガリア戦での奇跡の逆転勝利が語られることは多いが、実は松平が大会前に最も警戒していたのは決勝で対戦した東ドイツで、エンター監督について徹底的に研究したということが「驚きももの木20世紀」(94)の中で語られていた。インタビューの最後に「エンター監督のことをどう思うか」と聞かれた松平が「大好きだね」と即答したことが印象に残っている。

あの時のメンバーは、
1.南将之
2.猫田勝敏
3.中村祐造
4.西本哲男
5.木村憲治
6.深尾吉英
7.野口泰弘
8.森田淳悟
9.横田忠義
10.大古誠司
11.佐藤哲夫
12.嶋岡健治

 森田、大古、横田のビッグスリー、森田のドライブサーブや一人時間差、木村のBクイック、猫田の天井サーブ…。

 自分の中学には野球部がなかったので、ミュンヘン五輪の影響もあってバレー部に入った。「ミュンヘンで男子バレーチームが使ったのと同じ物」という触れ込みのシューズやサポーターを買ったが、多分“本物"ではなかっただろう。

 背が低かったので控えのセッターにさせられたが、普通にトスを上げても“バックトス”になって、よく先輩から叱られた。なぜか、男子よりも女子の方が勢力があり、その中の1年先輩に「スター誕生」に出る前の片平なぎさがいた。


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