『リロ&スティッチ』(2025.6.13.MOVIX亀有)
両親を亡くした少女リロ(マイア・ケアロハ)と姉のナニ(シドニー・アグドン)はハワイの島で暮らしていた。一人でリロを育てようと奮闘するナニだったが、なかなかうまくいかない。離れ離れになってしまいそうな姉妹の前に、見た目はかわいらしいのに、ものすごく暴れん坊な不思議な生き物が現れる。
その生き物は、違法な遺伝子操作によって破壊生物として生み出され、「試作品626号」と呼ばれる地球外生物(エイリアン)だった。そんなことは知らずに、リロはその生き物を「スティッチ」と名付けて家に連れ帰る。予測不可能なスティッチの行動は平和な島に混乱を巻き起こすが、その出会いがやがて思いもよらない奇跡を生み、希望を失いかけていた姉妹を変えていく。
ディズニーの同名人気アニメシリーズを実写映画化。ハワイを舞台に、地球に不時着した暴れん坊のエイリアンのスティッチと、一人ぼっちの少女リロの出会いと交流、家族の絆を描いたハートフルファンタジー。
監督は、アニメ版の『リロ&スティッチ』(02)も監督したディーン・フライシャー・キャンプ。同作でスティッチ役の声優を務めたクリス・サンダースが、本作でもスティッチの声を担当。日本語吹き替え版も、アニメ版と同じく山寺宏一が吹き替え声優を務めた。
前半はリロの悪童ぶりにイライラさせられるが、だんだんと“ハワイ版の『E.T.』(82)”のような様相を呈してきて、最後はなかなか面白いものを見たという印象に変わった。
当方、アニメ版はほぼ未見なので、あくまでこの映画だけの印象ということになるが、アニメ版のリロやスティッチの無軌道ぶりはもっとひどいらしいから、それをそのまま見せられたら我慢できなかったかもしれない。
では、この実写版の良さはどこにあるのか。まずハワイの実景はもちろん、ハワイ出身のケアロハとアグドン、そしてティア・カレル。中国系のジェイソン・スコット・リー、隣に住む親切なおばさんを演じた日系ハーフのエイミー・ヒルといったキャストの実写ならではの存在感が大きい。彼らとスティッチが、ハワイ語で血縁を超えた絆を表す「オハナ(Ohana)」を体現していくところが見どころとなる。
また、『E.T.』のほかにも『未知との遭遇』(77)『グレムリン』(84)『メン・イン・ブラック』(97)といった映画の影響がうかがえるのも楽しいし、音楽的には『ブルー・ハワイ』(61)にちなんだエルビス・プレスリーの曲やハワイの民謡「アロハ・オエ」などの使い方も効果的だ。
このところディズニーが試みているアニメ映画の実写化は概ね不調だが、その点この映画は成功作だと言ってもいいだろう。今回は日本語吹き替え版で見たのだが、エイミー・ヒルが渡辺えりに似ていると思ったら、実際に彼女が吹き替えていたのには驚いた。
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