田中雄二の「映画の王様」

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『おかしなおかしな大追跡』

2015-12-25 09:51:54 | All About おすすめ映画

『おかしなおかしな大追跡』(72
四つのかばんが巻き起こすコメディ



 サンフランシスコを舞台に、外見が全く同じな四つのかばんをめぐって展開されるコメディです。四つのうち、ジュディ(バーブラ・ストライサンド)とハワード(ライアン・オニール)のかばんの中身は極普通のものでしたが、あとの二つには宝石と機密文書が納められていました。それらのかばんがひょんなことから取り違えられて、彼らはスパイや悪漢たちに追われる身となります。

 監督のピーター・ボグダノビッチは映画評論家から転進し、『ラスト・ショー』(71)『ペーパー・ムーン』(73)といった名作を残しました。この映画では、チャップリンやキートンに代表される、サイレント映画のスラプスティック(激しい動作を伴うドタバタ)コメディを再現しています。

 それから、巻き込まれ型のサスペンスという意味ではヒッチコックの映画を参考にしていますし、わがままなストライサンドと気弱で真面目なオニールの関係は、ハワード・ホークスの『赤ちゃん教育』(38)のキャサリン・ヘプバーンとケーリー・グラントのリメークです。

 またオニールが、自身が主演した『ある愛の詩』(71)の「愛とは決して後悔しないこと」という名セリフを、「くだらんセリフだね」と一蹴するシーンもあります。さまざまな映画ネタが散りばめられた“映画狂”ボグダノビッチの面目躍如のコメディをお楽しみください。


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