1995年8月8日、最新鋭の超巨大ヘリコプター「ビッグB」が何者かによって乗っ取られ、福井県の原子力発電所「新陽」の上空で静止する。「天空の蜂」を名乗る犯人は、8時間以内に日本全土の原発を停止することを要求。応じなければビッグBを新陽の原子炉に墜落させると宣言する。
95年に書かれた東野圭吾の原作小説は、2011年の東日本大震災による福島の原発事故を経て“予言の書”と呼ばれているらしい。そこには、原発依存、いじめ、見たくないものには目をつぶる日本人の気質など、さまざまな問題提起が含まれている。
もちろんこの映画は、原作ありきのものではあるが、ビッグBの機内に取り残された技師の子どもの救出劇と対策本部の動静を描く前半は、黒澤明の『天国と地獄』(63)、巨大ヘリと原発の対峙は、怪獣映画を見ているような気分にさせられるところもある。
テレビ局の報道の仕方、神経を逆なでするような警察の取り調べシーン、やたらと叫ぶ役者たち、など問題点も少なくないが、映像化は難しいとされた原作をそつなくまとめた点では、堤幸彦監督作では最良の部類に入るのではと思われる。
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