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『警視庁物語 上野発五時三五分』『終電車の死美人』

2025-04-20 07:41:59 | 映画いろいろ

『警視庁物語 上野発五時三五分』(57)

 オートレース場で私製拳銃による謎の殺人事件が発生した。大穴が出た瞬間にサラリーマン風の男が撃たれたのだ。目撃者もなく、死体から発見された証拠品はパチンコの玉と焼け焦げた手ぬぐいのみ。数少ない証拠を頼りに警視庁捜査一課が捜査を開始する。

 ドキュメンタリータッチで描くシリーズ第5話で、村山新治の監督デビュー作。脚本の長谷川公之は、警視庁で科学捜査を担当していたという。主なキャストは、捜査第一課長:松本克平、捜査主任:神田隆、長田部長刑事:堀雄二、金子刑事:山本麟一、林刑事:花沢徳衛、山村刑事:波島進、田中刑事:佐原広二。そのほか多々良純、浦里はるみ、杉義一、岡部正純、潮健児、清村耕次など。

 上野駅のガード下、洲崎、三河島のハモニカ横丁(鉄道車両が住居に)、タイトルとなった犯人(多々良)が逃亡を図る早朝上野発の新潟行き列車など、今回も失われた風景が目を引く。ラストシーンの花沢のとぼけた感じがいい。


『終電車の死美人』(55)

 豪雨の夜、三鷹駅止まりの終電車内で若い女性の死体が発見された。現場で見つかった遺留品は、男性の写真が入ったロケットと、有楽町駅で発売された乗車券のみ。警視庁捜査一課が捜査を開始した結果、被害者は中年の男と一緒に乗車したことが判明する。

 その後、三鷹署にロケットの写真に写っていた丸山という男がやってきて、被害者の女性の身元が分かった。被害者は書店の店員の湯浅とし子で、婚約者である丸山が使い込んだ公金を補填するため、金策に走っていたという。

 朝日新聞社警視庁担当記者団による『警視庁』を基に白石五郎と森田新が脚本を執筆。監督は後に『点と線』(58)を撮る小林恒夫。音楽は紙恭輔。主なキャストは、宇佐美淳:阿川捜査一課長、松本克平:住田捜査一係長、山形勲:三井主任、堀雄二:長谷川部長刑事、伊藤久哉:赤木部長刑事、石島房太郎:田中部長刑事、花沢徳衛:甲田刑事。そのほか東野英治郎、南原伸二(宏治)、星美智子、山本麟一、中原ひとみなど。

 「警視庁物語」シリーズの嚆矢的な映画。後にシリーズのパターンとなる、地味な俳優が演じる刑事たちのチームワーク、足を使った地道な捜査がすでにここに見られる。

  終電間近の有楽町駅、東京駅発三鷹行き最終電車、吉祥寺、池袋など、今回も今は失われた風景が見どころ。東野の悪役ぶりや、悪役の多い山形の刑事役が印象に残る。ラストの逃亡する南原の姿は『灰とダイヤモンド』(58)のマチェク(ズビグニエフ・チブルスキー)のようだった。


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