『Wの悲劇』(84)(1985.2.5.日比谷映画)
劇団研究生の静香(薬師丸ひろ子)は、次回公演「Wの悲劇」のオーディションに臨むが、ライバルのかおり(高木美保)がヒロイン役に決まる。そんな中、劇団の看板女優・羽鳥翔(三田佳子)にスキャンダルが発生。静香は、その身代わりとなる代わりにヒロインの座を手に入れるが…。
澤井信一郎監督が夏樹静子の小説を劇中劇として取り入れながら、その舞台を演じる女優の成長と元劇団員の森口昭夫(世良公則)との恋を描いた。
二重構造を持った構成が見どころで、薬師丸ひろ子がアイドルから本格的な女優へと成長した映画としても有名。公開当時は、アーウィン・ショーの短編小説『憂いを含んで、ほのかに甘く』からの盗用疑惑が話題となったが、影響という意味では、ジョセフ・L・マンキーウィッツ監督の『イヴの総て』(50)の方が強いと思われる。
今となっては、終盤の重要な舞台となる日比谷スカラ座の外階段や、静香の部屋に貼られた和田誠イラストの東洋現像所のカレンダーが懐かしく映る。