『ギャング・オブ・ニューヨーク』(01)『アビエイター』(04)『ディパーテッド』(06)に続くマーティン・スコセッシ監督との4度目のコンビ作『シャッターアイランド』(10)のPRのために来日(2010.3.12.)したレオナルド・ディカプリオ。
オレは、どれも必ずしも成功しているとは思えないのだが、ディカプリオは心底スコセッシを信頼し、大きな影響を受けているようだ。この時の会見でも圧倒的にスコセッシに関する話が多かった。以下、印象に残ったコメントを。
「スコセッシは俳優をパートナーとして扱う。これはロバート・デ・ニーロとの関係で培われたものだと思う。特に『タクシードライバー』(76)や『キング・オブ・コメディ』(83)のようにダークサイドを描くのがうまいと思う」
「スコセッシは撮影が始まる前に参考になる映画を何本も見せてくれる。昔の映画からはその時代の香りが漂ってくる。そこからテンポやトーンを学ぶ。『アビエイター』の時はハワード・ホークスの『ヒズ・ガール・フライデー』(40)だった」
「今回は、愛する人を失った男が主人公ということで、『ローラ殺人事件』(44)(オットー・プレミンジャー、ダナ・アンドリュース)、『過去を逃れて』(47)(ジャック・ターナー、ロバート・ミッチャム)、『めまい』(58)(アルフレッド・ヒッチコック、ジェームス・スチュアート)だった。特に『めまい』は、幻想なのか、現実にいるのか分からない女を探っていくという点で、とても参考になった。今回のスコセッシは、ヒッチコック的な映画を狙っていた」
こういう話を聞くと、さすがは映画マニアのスコセッシという感じがするが、そのスコセッシは、監督作『ヒューゴの不思議な発明』(11)のPRのために来日(2012.2.16.)した際にこんなことを語っていた。
「子供の頃、父と一緒に、ビリー・ワイルダー、ジョージ・スティーブンスなど、たくさんの素晴らしい映画を見た。特に西部劇に夢中だった。なぜなら、私が喘息のせいで禁じられていた、荒野、山、馬、犬、カウボーイがそこに全てあったからだ」
そんな2人の共同作業は『ウルフ・オブ・ウォールストリート』(13)へと続く。